Budget Amount *help |
¥2,700,000 (Direct Cost: ¥2,700,000)
Fiscal Year 2000: ¥2,700,000 (Direct Cost: ¥2,700,000)
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Research Abstract |
本研究では,ウニ精子鞭毛におけるダイニンの機能を制御機構との関連のもとに解明することを目指した.滑りの制御機構はin vitro系では普通失われてしまう.本研究の代表者は,制御機構を保持したままで滑り運動を起こさせる系を確立し,中心小管がダイニンの活性部位を決めるだけでなく滑り速度を制御していることを示唆する結果を得た.さらに,この系を応用してダイニン分子の力の測定と,その自励振動現象をとらえることに成功した.本研究では,これらの成果を基礎に,ダイニン1分子の力学特性の制御機構すなわち,中心小管およびダブレットの屈曲がダイニン分子の活性に及ぼす効果について解析することによりダイニン分子の活性(力とその振動および滑り)の制御機構を明らかにする.実験には,ウニ精子を用い,エラスターゼ処理した鞭毛軸糸から得られる中心小管を含むダブレット微小管のbundle(太い束)と含まないbundle(細い束)における,ダイニンの力発生と滑り活性を解析した.Bundle上に露出したダイニンにおいては力と変位の振動は見られなかった.滑り活性については,ガラス針を用いてダブレット微小管に力を加えたときの,滑り活性の変化を解析した.その結果,滑りのパターンが変化することを見いだした。滑りパターンの変化は,太い束でも細い束でも見られた.また,太い束と細い束の間で起こる細い束の端のダブレット上のダイニンによる滑りの速度はどちらの束を曲げた時にも上昇した.従って,ダイニンの活性の制御には,束状の滑りを起こすような中心小管依存的なものと,今回観察された中心小管に依存しないものがあることが明かとなった.後者の滑りの制御は,ATP濃度に依存することからダイニン分子内の4つのATP結合部位による制御が考えられる.
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