Budget Amount *help |
¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 2000: ¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
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Research Abstract |
平成11年度の研究成果から胃や十二指腸粘膜から分泌されるIII型粘液に特徴的に含まれるGlcNAcα1→4Galβ残基を生成する糖転移酵素,α1,4-N-アセチルグルコサミン転移酵素(α4GnT)が胃癌では高頻度に発現しているが,末梢血有核細胞では全く発現していないことを見出したので,本年度はα4GnTを用いた新しい胃癌の分子診断法の確立を試みた.インフォームドコンセントの得られた胃癌患者36名,慢性胃炎7名,健常人15名から採取された末梢血有核細胞より全RNAを抽出し,ABIPRISM7700(PE Applied Biosystem社)を用いてreal-time RT-PCR法によりα4GnT mRNAの定量的検出を行った.内部標準としてはGAPDH mRNAを用い,α4GnT mRNAとの比率を算出した.その結果,末梢血中のα4GnT mRNAは健常人からは検出されなかったが,慢性胃炎では1名(14.3%),胃癌では24名(66.7%)から検出され,実際に胃癌患者の末梢血中にはα4GnTを発現する胃癌細胞が存在する可能性が示された.また,α4GnT mRNA/GAPDH mRNAは,胃炎では0.00037±0.00037(平均±標準誤差)と低値であったが,胃癌では1期0.004±0.001,II期0.010±.0.008,III期0.028±0.018,IV期0.032±0.019,再発例0.133±0.131と癌の病期が進行するにつれて有意に高値となる傾向が認められた.また,胃癌の病理組織型別では高分化型腺癌に比べて低分化型腺癌で高値の傾向が示された.以上より,α4GnT遺伝子を対象とした胃癌の分子診断法は癌のスクリーニングや術後のモニタリングに有用であるものと考えられた.
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