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¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
Fiscal Year 2000: ¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
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Research Abstract |
P-セレクチンは,活性化された血小板と血管内皮細胞に発現する細胞接着分子であり,白血球表面の糖鎖リガンドに結合することによって血管損傷や炎症部位への白血球の集積の初期段階を媒介する。白血球表面のリガンドとしては,PSGL-1と呼ばれる糖タンパク質に存在するシアル酸を含む糖鎖構造とチロシン残基に付加する硫酸基が重要な役割を果たしていると考えられている。本研究では,化学的に合成された硫酸化シアル酸誘導体(NMS03)によりP-セレクチン依存的な細胞接着が制御される可能性について検討し以下の結果を得た。 1.DNAトランスフェクションによりP-セレクチンを強制発現させたCHO細胞あるいはプレートに固相化した精製P-セレクチンに対し,蛍光色素BCECF-AMで標識したヒト白血病細胞株HL-60細胞を加え,40分後の細胞接着率を測定した。硫酸化シアル酸誘導体(NMS03)は,P-セレクチン-CHO細胞あるいは固相化P-セレクチンに対するHL-60細胞の接着を濃度依存的に阻害した。また,阻害に要する濃度は,ヘパリン,コロミン酸,デキストラン硫酸などの酸性多糖よりも低濃度であった。 2.NMS03の共存下あるいは非共存下で,固相化P-セレクチン上でヒト末梢血単球を4時間培養後,その上清に放出されるTNF-α活性を測定したところ,NMS03によりTNF-αの産生および放出が阻害された。 以上より硫酸化シアル酸誘導体がP-セレクチン依存性白血球接着反応の阻害を通じて炎症アレルギー反応を制御する可能性が示された。
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