大腸菌RNAポリメラーゼのαサブユニットを介した転写活性化のメカニズム
Project/Area Number |
12034219
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Review Section |
Biological Sciences
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Research Institution | National Institute of Genetics |
Principal Investigator |
藤田 信之 国立遺伝学研究所, 分子遺伝研究部門, 助手 (90173434)
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Project Period (FY) |
2000
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2000)
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Budget Amount *help |
¥1,600,000 (Direct Cost: ¥1,600,000)
Fiscal Year 2000: ¥1,600,000 (Direct Cost: ¥1,600,000)
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Keywords | RNAポリメラーゼ / αサブユニット / C末端ドメイン / 転写因子 / UPエレメント / 転写活性化 |
Research Abstract |
RNAポリメラーゼαサブユニットのC末端ドメインは、cAMP受容蛋白(CRP)をはじめとする様々な転写因子やプロモーター上流に存在するUPエレメントと呼ばれるATリッチなDNA配列との相互作用を介して、転写活性化に重要な役割を果たす。αC末端ドメインは、プロテアーゼに感受性を示す10数アミノ酸からなるリンカーを介してRNAポリメラーゼ本体と結ばれている。いくつかの実験から、ドメイン間リンカーは構造的に高い自由度を持っていることが示唆されてきた。一方、リンカーへの変異導入実験から、リンカー部分はαヘリックスやポリprolineヘリックスなどの固い構造を許容しうること、逆に、ポリglycineのような柔らかい構造は転写活性化を著しく阻害することがわかった。その他の結果もあわせて考えると、αサブユニットのドメイン間リンカーは、従来考えられてきたように完全に無構造なのではなく、C末端ドメインと転写因子もしくはUPエレメントとの相互作用にともなって安定な構造が誘導され、これが転写活性化のプロセスにおいて重要な役割を果たしているのではないかと考えられた。 αC末端ドメイン上の重要な変異の多くは、転写因子依存の転写とUPエレメント依存の転写の両方に影響を及ぼすことが知られている。加えて、ドメイン間リンカーに導入した様々な変異はどれも、CRP依存の転写(lac)とUPエレメント依存の転写(rrnB P1)にほぼ同様の影響を与えたことがら、2つの転写活性化に共通のメカニズムが働いていることが強く示唆された。αC末端ドメイン上の様々な位置に蛍光プローブおよび鉄-EDTA誘導体を導入して、複合体形成に伴うC末端ドメインの構造変化およびDNAとの相互作用を解析した結果、CRPによる転写活性化に際しても、活性型の転写開始複合体を形成するためには、αC末端ドメインのヘリックス1領域とプロモーター上流域DNAとの間に、UPエレメントの場合に似た蛋白質-DNA相互作用が必要であことが示唆された。 αサブユニットのリンカー領域をポリglycineに置き換えた変異は、CRP依存の転写およびUPエレメント依存の転写を強く阻害したが、いずれの場合においても、αC末端ドメインとプロモーター上流域DNAとの相互作用にはほとんど影響がみられなかった。このことは、転写の活性化にはαC末端ドメインとDNAとの相互作用だけでは不十分であり、その後に起こる何らかのプロセス(post-recruitment)が重要であること、さらに、そのプロセスにαサブユニットのリンカー領域の構造が大きく関与していることを示唆している。
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Report
(1 results)
Research Products
(2 results)