Research Project
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
最終年度にあたる今年度、研究代表者の久保は、中国新疆ウイグル自治区のイーニン市及びウルムチ市において現地調査を行ない、満洲語口語(シベ語)及びウイグル語のデータ収集を行なった。満洲語口語については、コンサルタントの発話を音韻表記したテキストデータベースの作成を行なった。ウイグル語については、母音調和に関する調査を行なった。現地調査では、このほかに、満洲語口語(シベ語)を母語とするコンサルタントの話す漢語、ウイグル語について、どういった特徴を持つかについて調査を行なった。漢語については、2音節の単語を若干調査したところ、声調を習得している語彙も多いが、母語である満洲語口語の音調を反映した「低降(LF)」のパターンが多く見られることが分かった。こういった、第2言語に対する母語(=第1言語=シベ語)の影響については、未だ不明な部分が多く、今後も調査を継続する予定である。第2言語の特徴を調べることが、第1言語の解明に役立つと期待される。報告書として、満洲語口語(シベ語)の音韻論と、その音韻表記を使った口語テキストを作成した。また、「満洲語口語(シベ語)語彙集」を作成するため、1984年に中国で出版されたシベ語・漢語語彙集(李樹蘭他編)を、機械可読形式のデータベースとする作業を行なった。これを元に、山本謙吾著『満洲語口語基礎語彙集』にある語彙も加え、シベ語の音韻表記、音声表記、満洲語文語、漢語、日本語、英語を併記した語彙集を作成中である。研究協力者の西岡いずみは、中国新疆ウイグル自治区ウルムチ市において、ウイグル語を母語とする話者をコンサルタントとして、移動動詞、指示詞の用法に関する調査を行なった。前者について報告をまとめた。
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