Research Abstract |
本研究の目的は,留学生を対象とした日本語教育の支援を行うディジタルリソースライブラリを開発することである.我々は,教材作成時に作成者が引用しなかった知識の中に学習者のニーズに合った知識が存在する可能性があると考え,引用行動を追跡するディジタルライブラリを提案した.本ライブラリは,教材作成者の引用行動を教材探索の情報として利用する枠組みを持つ.本年度は,その基盤となるディジタルライブラリサーバとそのクライアント環境の開発を進めた.サーバ部は,仮想環境と引用情報DBにより構成した.また,仮想環境を応用し,非同期型のバーチャルクラスルームに関する研究も進めた.クライアント部は,ライブラリ環境,エディタ環境,引用追跡ビュー環境で構成した.Web教材による通常の学習はライブラリ環境で行い,個人適応可能なアダプティブハイパーメディア環境を実現した.エディタ環境は教材作成時に利用し,その際の引用作業環境を提供した.また,任意のWebリソースに対して,カスタマイズを行う環境を実現した.引用追跡ビュー環境は,参照中のWeb教材に対する引用元および引用先のWeb教材の探索を支援する.引用情報の追跡及び管理についてはエージェント技術を利用し,"Qgent"を配置した.Qgentは,ライブラリ内の各リソースに常駐し,Web教材探索を支援するための引用情報として,引用元情報,引用先情報,作成者情報,引用意図を追跡する.Qgentは教材作成者の代理人であり,引用行動が確認された場合,引用部分をチェックし,引用元教材に引用情報を埋め込む.同時に,引用先Qgentは,作成中の教材に対して引用元情報を埋め込む.教材探索時には,教材に対して埋め込まれた引用情報を元に探索を行う.本研究の成果は,教材作成支援や,インターネット上に分散している日本語教育教材コンテンツの再利用支援などの応用も可能である.
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