Budget Amount *help |
¥3,600,000 (Direct Cost: ¥3,600,000)
Fiscal Year 2001: ¥1,700,000 (Direct Cost: ¥1,700,000)
Fiscal Year 2000: ¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
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Research Abstract |
研究代表者らは,平成13年度に科学研究費特定領域研究(A)(2)の交付を受けて,「溶液反応における超高速ダイナミクスの分光計測」に関する研究を行った.本年度は,まず前年度に製作したフェムト秒時間分解近赤外分光システムの性能改善を行った.プローブ光発生法や検出法の改良によって、波長850nmから1450nmまでの近赤外領域で10^<-3>程度の吸光度変化を安定して検出できるようになった.これは前年度に比べて約10倍の高精度化である. 改良したフェムト秒時間分解近赤外分光システムを用いて,次のような測定を行った. (1)9,10-ジシアノアントラセンを光励起し,1280nmを中心としたS_n-S_1吸収帯を観測した.ポンプ光によって与えられる余剰エネルギーに依存して,吸収帯の時間変化に差が出ることを見出した.数ピコ秒で起こる高速の振動緩和過程の存在を強く示唆した. (2)TiO_2微粒子を光励起し,生成した電子-正孔対による幅の広い吸収を近赤外領域全体で観測した.近赤外光を利用したために,微粒子状試料の分光測定を直接吸収法で行うことができた.その結果,電子-正孔対の生成および消滅のダイナミクスをフェムト秒の時間領域で測定することに成功した.1ピコ秒以内では電子-正孔対の消滅のダイナミクスが励起光強度に依存して変化することを見出した. フェムト秒時間分解近赤外分光法以外にも,時間分解けい光分光法,時間分解赤外分光法などを利用して溶液中の化学反応に付随した(i)反応分子同士の相対的並進・回転運動や,(ii)溶質-溶媒相互作用による分子間エネルギー移動過程,を観測した.これらの機構を考察することによって,(iii)溶液反応の定量的モデルの構築を試みた. 本年度は以上の結果を4報の原著論文として発表した.また,国際会議における招待講演を1件行った.
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