新規な分子空孔の設計と含カルコゲン高反応性化学種の構造および反応性解明への応用
Project/Area Number |
12042220
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Review Section |
Science and Engineering
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
後藤 敬 東京大学, 大学院・理学系研究科, 講師 (70262144)
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Project Period (FY) |
2000 – 2001
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2001)
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Budget Amount *help |
¥3,600,000 (Direct Cost: ¥3,600,000)
Fiscal Year 2001: ¥1,700,000 (Direct Cost: ¥1,700,000)
Fiscal Year 2000: ¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
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Keywords | 速度論的安定化 / Bowl型分子 / S-ニトロソチオール / チイルラジカル / Se-ニトロソセレノール / X線結晶構造解析 / 理論計算 / 立体保護 / チオール / 酸化 |
Research Abstract |
S-ニトロソチオール(R-SNO)は、生体内での一酸化窒素(NO)ドナーとして近年大きな関心を集めている化学種であるが、容易に分解するために、反応性などについては未解明の部分が多い。また、そのセレン類縁体であるSe-ニトロソセレノール(R-SeNO)については、従来にない特質をもつNOドナーとしての期待がもたれるが、これまでに観測例すら報告されていない。本研究では、独自に開発したbowl型立体保護基を活用してこれらの化学種の安定化を図り、その構造および反応性について検討した。m-テルフェニル基を放射状に伸長させた新規な芳香族立体保護基(Bpq基)を有するS-ニトロソチオール1を合成し、その熱安定性を調べた。通常の芳香族S-ニトロソチオールは溶液中室温でも速やかに対応するジスルフィドへと分解するが、1は重ベンゼン中80℃で加熱しても完全な分解には6日を要し、ジスルフィドの生成を立体的に抑制すれば、S-ニトロソチオールが長寿命を持ちうることを実証した。また、ベンゼン中1に光照射を行ったところ、EPRにより対応するチイルラジカルの直接観測に成功した。このシグナルの半減期は300Kで55分と非常に長く、過去に報告された中で最も安定なチイルラジカルであることがわかった。Bpq基をもつセレノールに亜硝酸エチルを作用させたところ、対応するSe-ニトロソセレノール2が定量的に生成し、安定な紫色結晶として単離することに成功した。これは、Se-ニトロソセレノールの初めての単離例である。2の構造はX線結晶構造解析より決定した。また、類似のbowl型芳香族置換基を有するSe-ニトロソセレノールおよび1段階酸化が進んだSe-ニトロセレノール(R-SeNO_2)についても合成を行い、求核剤などに対する反応性を明らかにした。
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Report
(2 results)
Research Products
(12 results)