Budget Amount *help |
¥3,600,000 (Direct Cost: ¥3,600,000)
Fiscal Year 2001: ¥1,700,000 (Direct Cost: ¥1,700,000)
Fiscal Year 2000: ¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
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Research Abstract |
金属カチオンとカルバニオンからなる求核的有機金属化合物は,有機溶媒中で複数の会合種の平衡状態にあり,このようなクラスター性有機金属化合物の反応機構は複雑を極める.このような有機金属化合物を活用する精密合成反応の開発には,その反応機構の解明と理解が必須であるが,実験的な手法のみでは解決できない問題点も多い.このような研究分野において,大規模量子化学計算と合成反応研究の併行による「理論(反応理解)に導かれる反応開発」がその威力を発揮することが期待される.本研究では計算機化学的手法を用いた有機金属クラスターの反応機構の解明と理論研究に基づく反応設計を基盤とした,新しい炭素-炭素結合生成反応の開発を行ってきた. 活性化基を持たない単純オレフィン類への有機金属試薬の付加反応(カルボメタル化反応)は,動力学的にも熱力学的にも不利な反応であるが,一次化学品であるアルケン類の精密合成化学への直接利用を可能とする魅力的な反応である.我々はビニル金属化合物に対するアリル金属,および金属エノラート類縁体の付加反応の実験,理論研究を通して活性な亜鉛エノラート等価体である亜鉛エナミンが効率的に単純オレフィンへ付加することを見いだした.すなわち第一アミン類とケトン類から容易に調製可能なイミンに対しアルキルリチウム,アルキル亜鉛試薬を逐次的に作用させ調製した亜鉛エナミンがエチレン,オクテンを始めとする不活性アルケン類に効率的に付加し,イミノ官能基を有する官能基化有機亜鉛試薬を高収率で与えるが明らかとなった.さらに光学活性イミン類を用いることで高立体選択的な炭素-炭素結合生成反応への展開が可能であることを示すことができた.
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