金属表面上での飽和炭化水素の光反応と電子状態の研究
Project/Area Number |
12042229
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Review Section |
Science and Engineering
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Research Institution | The Graduate University for Advanced Studies |
Principal Investigator |
松本 吉泰 総合研究大学院大学, 先導科学研究科, 教授 (70181790)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡邊 一也 総合研究大学院大学, 先導科学研究科, 助手 (30300718)
高木 紀明 総合研究大学院大学, 先導科学研究科, 助教授 (50252416)
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Project Period (FY) |
2000 – 2001
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2001)
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Budget Amount *help |
¥3,600,000 (Direct Cost: ¥3,600,000)
Fiscal Year 2001: ¥1,700,000 (Direct Cost: ¥1,700,000)
Fiscal Year 2000: ¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
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Keywords | メタン / 銀 / メチル / 電子衝撃 / エチレン / エタン / 振動分光 / 昇温脱離 / 銅 / 白金 / 光解離 / 超薄膜 / 膜成長 / 光化学 / XPS |
Research Abstract |
Ag(110)表面上におけるメチル基の反応を中心に研究を行った。メチル基はFische-Tropsch合成に見られるように炭化水素の触媒反応においてきわめて重要な中間体であり、この反応性は反応効率、選択性などを考慮する上で重要な位置を占める。白金等に代表される遷移金属表面ではメチル基の脱水素反応が優先的に起きるため、炭素-炭素間の結合は起こりにくく、最終的にはグラファイト形成にいたる。これに対して、銅や銀表面ではむしろ炭素-炭素結合が優先的に起きることが知られている。しかし、銀表面では今までハロゲン化メチルを用いた研究しか行われておらず、残存するハロゲン共吸着種の影響が無視できなかった。本研究では、メタンを低温でAg(110)表面に物理吸着させ、これに50eVのエネルギーで電子衝撃することにより、メチル基を生成させた。その吸着状態と反応機構を昇温脱離と全反射赤外吸収分光によって研究した。その結果、メチル基の吸着構造としては分子軸を表面法線方向に平行なものと、それから傾いて吸着しているものを見出した。これらの吸着構造はメチル基の被覆率に依存し、反応性も異なることがわかった。特に、前者は低温で炭素-炭素結合によりエタンを生成するが、後者はより高い温度でエタンとメタンとを生成する不均化反応を起こすことが判明した。 さらに、この表面を酸化し、特徴的なAgO擬一次元鎖を持つ表面においても同様な実験を行った。清浄表面では電子衝撃時に生じるホットなフラグメントによる非熱的な反応でエチレンが生成されるが、熱的に緩和したメチル基がその後の表面温度上昇によってエチレンを生成することはなく、エタンを生成する。これに対して、酸素で修飾した表面ではほぼ100%エチレンが選択的に生成されることがわかった。また、興味深いことにその収率は酸素吸着量に依存することも判明した。これは酸素吸着種がメチル基の脱水素反応を促進し、また擬一次元鎖が作るスペースがちょうどエチレンを形成するのに適当なテンプレートになっている可能性があることを示唆している。
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Report
(2 results)
Research Products
(5 results)