Project/Area Number |
12042245
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Review Section |
Science and Engineering
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
長谷川 淳也 京都大学, 工学研究科, 助手 (30322168)
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Project Period (FY) |
2000
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2000)
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Budget Amount *help |
¥1,600,000 (Direct Cost: ¥1,600,000)
Fiscal Year 2000: ¥1,600,000 (Direct Cost: ¥1,600,000)
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Keywords | 光合成反応中心 / 電子移動 / 量子化学 / 密度汎関数法 / 電子親和力 / 構造緩和 |
Research Abstract |
光合成反応中心におけるbacteriopheophytin(H)からubiquinone(UQ)への電子移動について、反応に伴う構造緩和と蛋白が色素の電子状態に及ぼす影響について量子化学的方法を用いて研究した。 種々の方法と基底関数を試験し、電子親和力の計算には密度汎関数法、6-31+g基底関数を採用した。構造最適化には6-31+g^*基底関数を用いている。 気相中ではmenaquinone(MQ)、UQの電子親和力はHより小さく電子が移動する方向と矛盾する結果を与えるが、蛋白の効果を含めると、電子親和力は気相中より30kcal/mol程度大きくなり、Hの電子親和力を上回り、現象を説明できる結果を与えることがわかった。即ち、蛋白が色素の電子親和力を調節し、電子移動に重要な役割を果たしている事が明らかになった。これはquinoneのアニオンでは酸素原子に大きな負電荷が生じ、蛋白からの水素結合がこれを安定化していることによる。 次に電子移動の後の色素の構造緩和について研究した。まず、色素の気相中における構造緩和を調べると、アニオン状態ではSOMOの軌道の性質に由来した構造変化が見られたが、変化の大きさ自体は小さかった。次に周辺アミノ酸残基を加えて、結合サイト中での色素と水素結合しうるプロトンの構造変化を調べた。アニオン状態の色素は水素結合距離がより短くなるよう、蛋白の極性残基の方向に約0.2Å移動するが、色素自体、プロトンの位置に大きい変化は見られなかった。最後に、QM/MM法で電子移動の各状態の蛋白の全構造を最適化したところ、アニオン状態では色素はより強く水素結合するよう移動するが、蛋白の溶媒和構造の変化、蛋白全体の構造変化は小さいことが分かった。以上により、本研究では電子移動後による主な構造変化は結合サイト中での色素の移動である事が分かった。 本研究で求めた、構造を用いて反応熱を計算したところ、実験で算出されている値によく一致するものが得られた。反応熱を解析したところ、反応の駆動力は主に色素の電子親和力にあるという結果を得た。
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Report
(1 results)
Research Products
(1 results)