Research Project
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas (A)
昨年度において、核と電子を等価に扱う密度汎関数の理論および計算技術をグリーン関数を用いて定式化させてきた。核-核相関および核-電子相関についての近似を見積もった。また、密度汎関数法を用いた励起状態計算への拡張も行ってきた。本年度は昨年度の結果に基づき、核と電子を等価に扱う密度汎関数の実時間量子ダイナミックスへの展開を行った。はじめに、核と電子を等価に扱う時間依存密度汎関数法を用いて、強レーザー場下の分子系へ応用した。この実時間量子ダイナミックスでは核-電子相関の近似精度が重要であることが分かった。電子および核のダイナミックスとダイナミックスの厳密解を比べてみると、現在用いている近似レベル以上のものが必要であることが分かり、今後の課題として核-電子相関ポテンシャルの再定式化が必要である。現在、昨年度展開していたグリーン関数法に基づいた交換相関の精密な取り扱い(GW法)を時間依存密度汎関数法へ取り込む方法を展開中である。密度汎関数法の弱点である励起状態の精度の改良も含め、数値計算に向けてのアルゴリズムの改良なども今後の課題であると思われる。
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