Research Project
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas (A)
Ziegler-Natta触媒反応は古くからオレフィンの重合反応に用いられており、実験的にも理論的にも多くの研究がなされてきた。特にKaminskyらによりシリレンでCpを橋掛けしたようなリガンドを用いた均一触媒により高密度のポリエチレンが得られることが報告された。また、最知constrained geometry catalysis(CGC)と呼ばれるリガンドを用いた触媒では側鎖をもつ生成物ができることがBercawらにより報告された。本報告ではZiegler-Natta触媒反応の配位子が反応機構に及ぼす影響に対して次の2点について研究を行った。(A)Kaminsky型の触媒モデルにおける橋掛けX原子の違いによる反応への影響。掛け橋のX原子の影響について電子的効果と構造的効果について調べた。この結果、電子的効果は小さいが構造的効果が大きいことが明らかになった。また、Kaminsky型の触媒モデルではCpと遷移金属の距離を最適な構造(例えばTiの場合約2.3Å)を取ることにより最適な触媒になることを明らかにした。これらの結果はKaminsky型の触媒モデルの設計に対し有効な指針になると考えられる。(B)CGC及びCGC類似の触媒による反応機構への影響。CGC触媒及びその類似触媒の反応機構の変化を調べた。この結果、他の触媒反応と反応設計に対する考え方で大きく異なることを指摘することができた。すなわち、一般的な触媒反応の場合遷移状態のエネルギー、構造が反応を大きく支配し、これを制御することで反応の設計が可能であった。しかしCGC及びCGC類似の触媒においては錯体生成が反応を大きく左右し、この部分の制御により有効な触媒設計が可能であることを明らかにした。
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