Project/Area Number |
12046208
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Review Section |
Science and Engineering
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Research Institution | The University of Tokyo (2001) Tohoku University (2000) |
Principal Investigator |
石原 純夫 東京大学, 大学院・工学系研究科, 講師 (30292262)
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Project Period (FY) |
2000 – 2001
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2001)
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Budget Amount *help |
¥1,600,000 (Direct Cost: ¥1,600,000)
Fiscal Year 2001: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2000: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
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Keywords | 遷移金属酸化 / 軌道の自由度 / 共相関電子系 / 巨大磁気抵抗効果 / 共鳴X線散乱 / ラマン散乱 / 遷移金属酸化物 / 強相関電子系 |
Research Abstract |
平成13年度の研究課題として以下の2つの課題を実施した。 [1]マンガン酸化物の金属相における量子軌道揺らぎ 量子軌道揺らぎの一形態である「量子軌道液体状態」は以前、本研究代表者らにより立方晶ペロフスカイト型マンガン酸化物の異常金属状態を説明するのに提唱された。本研究ではこの概念を層状ペロフスカイト型マンガン酸化物La_<2-2x>Sr_<1+2x>Mn_2O_7に適用した。本物質の中性子散乱実験によると、磁気秩序金属相におけるスピン波の分散関係は、Sr濃度xとともに系統的に変化することが見出されている。これをハイゼンベル模型を用いて解析することで、MnO_2層内の磁気相互作用と層間の相互作用との比が系統的に変化することが明らかになり、3d電子の占有軌道が3z^<2->r^2軌道からx^<2->y^2軌道へと変化していることが示唆された。しかしながら結晶の対称性はSrの濃度によらず正方晶であることが知られており、これは占有軌道が単純な3z^<2->r^2軌道とx^<2->y^2軌道との線形和では表されないことを意味する。これを説明するために「量子軌道液体状態」の概念をこの系に適用し、磁気相互作用の系統的な変化と結晶の対称性とを同時に説明できることを明らかにした。 [2]ペロフスカイト型Ti, V酸化物における軌道秩序・軌道ダイナミックス 本研究課題では、t_<2g>軌道の自由度を有するペロフスカイト型チタン、バナジウム酸化物の軌道秩序ならびに軌道ダイナミックスについて研究を行った。e_g軌道の自由度を有するマンガン酸化物とこれらの物質を比較した場合、その軌道縮重の数、隣接サイト間の電子遷移強度、スピン軌道相互作用の有無等において定性的に異なり、これらは軌道秩序やダイナミックスに本質的な差異を生じるものと予想される。本研究ではまずスピン、軌道状態を記述する有効ハミルトニアンを導出した。平均場近似による解析の結果、強磁性相における軌道状態には多くの縮重が存在することが示され、これを反映してゼロエネルギー・モードが軌道励起に出現することが明らかとなった。また共鳴X線散乱に対する一般的な表式を導出し、これを用いてYTiO_3における実験結果を解析し、その軌道状態を議論した。
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