軌道縮退とフラストレーションのある遷移金属カルコゲナイドでの新しい量子現象の探索
Project/Area Number |
12046243
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Review Section |
Science and Engineering
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
志賀 正幸 京都大学, 工学研究科, 教授 (30026025)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 裕之 京都大学, 工学研究科, 助手 (00202218)
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Project Period (FY) |
2000 – 2001
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2001)
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Budget Amount *help |
¥3,900,000 (Direct Cost: ¥3,900,000)
Fiscal Year 2001: ¥1,700,000 (Direct Cost: ¥1,700,000)
Fiscal Year 2000: ¥2,200,000 (Direct Cost: ¥2,200,000)
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Keywords | 遷移金属カルコゲナイド / 軌道自由度 / フラストレーション / 金属絶縁体転移 / 三角格子 / カルコゲナイド / 軌道縮退 / スピン液体 / スピネル |
Research Abstract |
遷移金属カルコゲナイド、特に硫化物は、硫黄の価数の不安定性に伴い、酸化物とは異なる多様な異常を示す可能性がある。我々は、数年来研究を続けてきた三角格子硫化物BaVS3の金属絶縁体転移の起源を明らかにすること、および、カルコゲナイドで新たな興味深い物理現象を探索することを目的として、軌道縮退およびスピンフラストレーションをキーワードとした物質探索を行った。 BaVS3関連では関連物質としてBaVSe3、V5S8、V5Se8およびインターカレート物質等の研究を行った。これらの物質に関しては、その基底状態で、磁気モーメントの大きさに比してNMRの共鳴周波数(核位置の内部磁場)が小さいという問題点が存在していた。一連の物質の系統的な研究から、それらの物質では、大きな異方性内部磁場が存在する可能性があり、それが見かけの内部磁場を小さくしている可能性があることがわかった。また、単結晶を用いた回折実験や強磁場測定で、金属絶縁体転移の起源の解明に関して、大きな進歩が得られた。 一方、新たな、物質探索に関しては、様々な遷移金属硫化物の合成と基礎物性の測定を行ったが、特に興味深い物質として、ここでは欠損スピネルをあげる。欠損スピネルは孤立した四面体金属クラスタを持つ。すなわち、遍歴電子フラストレート系と局在電子フラストレート系の中間に位置し、金属-絶縁体境界のフラストレーションの効果を研究する上で非常に興味深い物質といる。一部の遷移金属欠損スピネル化合物では軌道自由度とスピンのフラストレーションに関連すると考えられるクラスタ内の構造不安定が観測された。今後、この分野の研究を発展させたいと考えている。
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Report
(2 results)
Research Products
(8 results)