ペロブスカイト型酸化物結晶における外場誘起電子物性の研究
Project/Area Number |
12046255
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Review Section |
Science and Engineering
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
桑原 英樹 上智大学, 理工学部, 助教授 (90306986)
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Project Period (FY) |
2000 – 2001
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2001)
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Budget Amount *help |
¥2,200,000 (Direct Cost: ¥2,200,000)
Fiscal Year 2001: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 2000: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
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Keywords | メタ磁性転移 / 磁歪 / 軌道整列 / 磁場誘起物性 / 電荷整列 / 磁気抵抗効果 / ホール効果 / 異常ホール効果 / 金属絶縁体転移 / 電子相図 / 元素置換 / 4f電子 / 希土類元素 |
Research Abstract |
層状反強磁性Mn酸化物(Nd1-xSrxMnO3 x=0.55)を中心にして、幅広くホール濃度を制御したペロブスカイト型Mn酸化物結晶を作製し、以下のことが明らかとなった。 (1)磁歪測定より、磁場の印加によって反強磁性異方的金属相から強磁性金属相に転移するのに伴い、大きな格子変形が観測された。これはx2-y2軌道整列によりab面内で広がりc軸方向に縮んでいた結晶格子が、x2-y2軌道に3z2-r2軌道が混成し3次元的に等方的な丸い軌道に変化することによって等方的な結晶格子に体積変化し、この体積変化を平均的な格子変形として実験的に捕らえたものであると考えられる。 (2)ホール・ドーピングxをさらに進めると、0.63≦xの領域では、液晶のネマチック相のようにc軸方向に一軸性をもったロッド状の軌道(3z2-r2軌道)が整列した絶縁体となり、c軸方向に伸びた3z2-r2軌道と酸素の2pz軌道の混成により、c軸方向に1次元的な強磁性鎖を作り隣の鎖とは反強磁性的に結合するC型反強磁性構造であることが分かった。このC型反強磁性構造についても高磁場で磁化過程を調べたところ、A型層状反強磁性構造の場合のようなメタ磁性転移は見られず連続的に相転移することが明らかになった。 さらに次元性を制御した層状Mn酸化物結晶を作製し、そのホール係数測定から、 (1)キャリアは正孔であり、その濃度、温度依存性が3次元ペロブスカイト型Mn酸化物と大きく異なり、ホール濃度が仕込み組成の約1/10程度であり、また大きな温度依存性をもつ。 (2)スピン散乱に起因する異常ホール係数が典型的な強磁性金属と大きく異なり、低温に近づくにつれて大きくなる。などを見い出した。これは従来の理論では説明できず、さらに詳細に低温の磁性を調べたところ、スピングラス相を見出し、このスピングラス相が低温で増加する異常ホール係数と関係するのではないかと考えられる。
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Report
(2 results)
Research Products
(11 results)