Research Project
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas (A)
【研究目的】物理的環境を触感覚で知覚する動物において、周囲の物体の位置が中枢でどのように表現され、どのような神経回路を介して触覚行動として発現するのかを明らかにすることが本研究の目的である.探索行動中のゴキブリは、触角(アンテナ)に静止物体が接触するとその方向へ定位する定型的行動が起こる.アンテナからの触感覚に基づいた物体の方向検知には、アンテナ基部の毛板とよばれる機械受容器が関与することが定位行動を指標とした毛板破壊実験により示された.アンテナ毛板は数十〜数百本の機械感覚毛からなるクラスタ構造で、関節の曲がり具合を検知する自己受容器として機能する.本研究では、毛板からのアンテナ位置情報とアンテナ先端からの接触情報とが統合されて周囲の物体の位置情報となる中枢過程、および触覚定位行動を発現・調節する中枢機構を調べる.【今年度の研究成果】1)アンテナ運動と毛板の関係を明らかにするため、トレッドミル上で探索行動中の動物のアンテナ運動を画像解析し、毛板破壊によって引き起こされる変化を調べた.破壊後の運動様式より、毛板からアンテナ運動系へのネガティブ・フィードバックの存在が示唆された.2)アンテナ運動系の中枢機構を明らかにするため、アンテナ自発運動の3次元解析を行った.左右間でのアンテナ運動、歩行リズムとアンテナ運動の相互相関を調べ、これらの間に有意な相関が存在することを見出した.3)触覚定位行動の発現と調節に関与する腹髄下行性介在ニューロンを検索した.水平方向のアンテナ自発運動に応じた発火をするニューロンがこれまでに見つかり、その応答特性について解析した.
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