Budget Amount *help |
¥5,000,000 (Direct Cost: ¥5,000,000)
Fiscal Year 2001: ¥2,400,000 (Direct Cost: ¥2,400,000)
Fiscal Year 2000: ¥2,600,000 (Direct Cost: ¥2,600,000)
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Research Abstract |
パルス型弱発電魚モルミルスには,同種間の混信を避ける行動として,相手の放電に一定間隔をあけて放電するエコー行動がある。この行動によって,縄張りや社会的順位が決定されると考えられる。本研究の目標はこの神経機構について,とくに感覚入力系の並列情報処理機構を中心に明らかにすることである。今年度は次の点が明らかになった。 1.EOD応答様式:感覚刺激でありまた自己の最終出力でもあるEODの周波数変化を知る目的で,自由行動下のモルミルスからEODを記録し,相手魚の存在下と比較検討してエコー行動の発生条件を推定した。EODには個体によって固有の周波数と振幅があり,遊泳に伴って,また相手魚との関係によってEOD周波数は特有のパターンで変化した。特に自己周波数に近いほど,EOD停止の期間が長く,また電気刺激にも応答した。繰り返し電気刺激した場合は停止期間の短縮が起こり,学習の要素もあることが推測された。また距離と遊泳速度に応じて振幅は変化したことから,電気的定位では,他物体の位置だけでなく動きとスピードも認知されることが推察された。 2.ELLにおける電気的活動と情報変換過程の解析:周波数変化に対し広域の応答特性を持つモルミロマスト電気受容器の一次感覚神経はELLのMedial zone(MZ)に投射する。MZの二次ニューロンの発火に対するEOCDおよび抑制性介在ニューロンの修飾作用についてスライス標本を用い近赤外光生体画像観察下で調べた。EOCDおよび上位中枢からの情報を含む平行線維によって,二次LGニューロンの発火は誘発されるが,介在ニューロンにより強く抑制される。電位依存性色素を利用しての画像解析からは,電気感覚葉の興奮の伝播には方向性があり,ELLの分子層に沿って柱状構造があることが示唆された。グリシンは柱状構造の同期化に寄与していることが示唆された。
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