Research Project
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas (A)
ゼブラフィッシュ脊髄に発生する3種の一次運動ニューロンの軸索は、初めに共通な経路で伸展した後、体幹筋の中隔部で一旦停止し、それぞれが固有の経路をとって異なる領域を支配する。ここで共通経路の終点/個有経路の始点となる中隔領域は特にchoice pointと呼ばれ、成長円錐の性質に何らかの変化の起きるポイントであることが以前より推測されていた。この問題に対し、我々はchoice point領域を取り囲むようにして発現するsema3Aが、共通経路上にある一次運動ニューロンの成長円錐に対しては反発作用を示すものの固有経路上では反発の作用を示さないことを発見し、この成長円錐の変化の実態を明らかにした。さらに成長円錐にsema3Aに対する反応性の変化を引き起こすための機構として、1)共通経路上またはchoice point周辺の細胞から成長円錐へのinstructiveな作用、2)共通経路上と固有経路上に異なった細胞外分子が発現することによるsema3Aシグナル伝達レベルでの変化、3)成長円錐からのシグナルに依存しない、細胞自律的な変化、の3つの可能性を想定し、それぞれについて検討を行い、この結果として、想定した3つの機構が全て存在する結果を得た。またこの場面で、血管内皮増殖因子(VEGF)がsema3Aに拮抗していることを見いだしたが、ごれはin vitroの実験から提案されていた、レセプター(ニューロピリン)を介してセマフォリンを阻害する現象が、in vivoの発生過程で生理的な意義を持つことを初めて示した実例である。さらに逆に、血管内皮の移動を担うVEGFに対してsema3Aが機能を阻害するパターンも見いだしており、総合的には、神経成長円錐ガイダンスと血管・内皮の移動のシグナルが互いに相互干渉し、かつ協調することにより神経と血管が正しいパターンを作ることが明らかとなった。
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