ラット胎生期における脳の神経回路網形成に及ぼすエストロゲンの影響
Project/Area Number |
12053206
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Review Section |
Biological Sciences
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
伊藤 憲一 山形大学, 医学部, 助教授 (40124408)
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Project Period (FY) |
2000
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2000)
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Budget Amount *help |
¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
Fiscal Year 2000: ¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
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Keywords | エストロゲン / エストラジオール / ラット / シナプス / 可塑性 / 学習 / 海馬 / 長期増強 |
Research Abstract |
胎生期のラットに低濃度の性ホルモンの一つであるエストロゲンを暴露することで、生後の記憶・学習行動にどのような影響が及ぼすかを調べるために、ニューロンレベルの基礎であるシナプス可塑性について実験を行った。エストロゲンは、妊娠10日目のラットの背側頚部皮下に浸透圧ポンプを埋め込み、2週間持続的に投与した。実験には生後15〜59日のラットの海馬スライス標本(400μm)を用いた。海馬スライスのCA1領域から集合電位(population spike;PS)とフィールド興奮性シナプス後電位(field excitatory postsyanptic potential;f-EPSP)を記録した。シナプス可塑性を調べるために、シータバースト刺激(θ-burst stimulation;TBS)を加え、PSとf-EPSPの変化を観察した。シナプス可塑性の誘導には、年齢因子が関与しているので、15〜30日群と31〜60日群に分けて検討した。その結果、コントロール群(17α estradiol投与群;CON)とエストロジオール処置群(17β estradiol投与群;ES)で、低頻度刺激で誘導されるPSの大きさ、f-EPSPの傾斜に有意差は認められなかった。TBSを加えると、PSの大きさとf-EPSPの傾斜が一過性に増大し、約10分間後にTBS前のレベルより大きな電位を維持したまま1時間持続する現象、即ち長期増強(Long-term potentiation;LTP)がいずれのグループでも観察された。生後31〜60日のグループでCON群のLTPの大きさは、PSで232.2±19.7%(Mean±SD,n=7)、f-EPSPで138.6±7.5%(n=7)、それに対しES群のLTPはPSで322.5±45.0%(n=14)、f-EPSPでは162.9±14.4%(n=11)であり、ES群のLTPが有意に大きいことが示された(p<0.05)。これは17βestradiolの投与により、LTPの形成能力が亢進したと考えられる。また、若齢群(15〜30日)では17β estradiolによるLTP増大効果は認められないことから、17β estradiolのLTP増強効果は、年齢依存性に現れることが判明した。
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Report
(1 results)
Research Products
(3 results)