Project/Area Number |
12053248
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Review Section |
Biological Sciences
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
畠 義郎 大阪大学, 医学系研究科, 助教授 (40212146)
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Project Period (FY) |
2000
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2000)
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Budget Amount *help |
¥3,000,000 (Direct Cost: ¥3,000,000)
Fiscal Year 2000: ¥3,000,000 (Direct Cost: ¥3,000,000)
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Keywords | 一次視覚野 / 眼優位性コラム / 視覚遮断 / 生後発達 / 神経栄養因子 / ネコ / 可塑性 |
Research Abstract |
哺乳類視覚野の片眼視覚遮断による変化は、発達脳の可塑性のモデルとして広く研究されてきたが、近年、この可塑性に神経栄養因子が重要な役割を果たすことが示唆されている。シナプス後皮質細胞より分泌される神経栄養因子を、シナプス前線維が競合的に受容し、その競合の結果コラムの拡大や縮小を引き起こすという仮説である。報告者はこれまで、発達期の一次視覚野に脳由来神経栄養因子(BDNF)を持続的に投与すると、すでに出来上がった眼優位性コラムがdesegregateし、コラム構造が見られなくなることを見いだした。また、片眼遮蔽を行った動物では、健常眼のコラム、遮蔽眼のコラム共にdesegregationを示した。このことはBDNFが発達期の視覚野において、視床からの入力線維の皮質内分布に影響を与えうることを示す。しかし、入力線維の分布や形態が神経活動の変化によっても引き起こされることは、広く知られており、投与したBDNFが視覚野ニューロンの活動の変化、例えば、活動性を上昇させることで神経結合の強化や新生を引き起こしたために、結果として眼優位コラムがdesegregateしたという可能性も考えられる。 そこで本研究は、BDNFの投与や内因性BDNFの抑制により、発達期視覚野ニューロンの光反応性がどのように変化するかを明らかにすることで、BDNFの視覚野神経回路網への影響のメカニズム理解の手がかりを探る。 生後4-5週の仔ネコの両側一次視覚野にステンレスカニューレを留置し、浸透圧ミニポンプを用いてBDNFあるいはリンゲル液を2週間にわたり持続投与した。その後、動物を麻酔、非動化し、BDNF投与部位周辺の皮質より多数のニューロンのスパイク活動を細胞外記録した。リンゲル液投与部位周辺でも同様の記録を行い、各ニューロンの光反応性(反応の強さ、方位選択性等)を定量的に解析した。その結果、BDNF投与部位周辺においては、視覚野ニューロンの光反応の強さが低下しており、また方位選択性も弱くなっていることが明らかとなった。この結果は、BDNF投与が直接ニューロンの活動性を高めることはないということを示し、さらに、既存のシナプスを単純に強化あるいは抑圧するのではなく、シナプスの再編成を行うことを示唆している。
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