Research Project
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
生細胞は、その機能を遂行するために、多くの状況で膜突起を形成させる。細胞は、細胞骨格を伸張することによって膜突起を形成させているが、その力学的メカニズムを探求するためにリポソームを用いたモデル系を開発した。リポソーム膜の本質的な特性はわずか5mmの厚さの液晶相であることに由来する。脂質分子の協同作用から生じるメカトロニクス特性を解明することが肝要である。リポソームの形態変化は連続的変化が蓄積して、臨界状態では著しい協同的なトポロジー変化を示すので2次元流体の協同作用を研究する最適の材料である。当課題で新しく開発したダブルビームのレーザーツイーザーシステムによって、リポソーム内部の張力によってリポソームは、まずレモン型に変型し、次いで管状の突起が楕円球上に非連続的に形成されることが判った。本年度は、特にこれらの変形過程に必要な力を詳しく測定した。即ち球形からレモン型への変形過程では、長軸の伸張に伴い急激に力は増加し平均15pNの力が要った。しかし、レモン型端での突起形成と同時に急激にその力は減少し、3pNになった。この力は突起の長さの伸長には依存せず一定であった。驚くべきことに短縮過程でも3pNの大きさは一定に保たれた。そして、突起が短縮して消滅しレモン型に復帰する際に5pNの力が一時的に発生した。これらの結果は、膜の分子構造が管部と球部では異なりその境界を創出したり、消滅させることが膜の小細胞形態形成の主要な要因であることを示している。
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