炎症性腸疾患の病態解明および治療薬開発へ向けての機能ゲノム解析
Project/Area Number |
12204038
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas (C)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Review Section |
Biological Sciences
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
油谷 浩幸 東京大学, 先端科学技術研究センター, 助教授 (10202657)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中島 淳 横浜市立大学, 第三内科, 講師 (30326037)
松橋 信行 東京大学, 医学部・附属病院, 助手 (10221590)
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Project Period (FY) |
2000
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2000)
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Keywords | 炎症性腸疾患 / DSS腸炎 / PPAR / 遺伝子発現プロファイリング / チアゾリジン誘導体 |
Research Abstract |
炎症性腸疾患は極めて難治性の炎症性疾患であるが原因は不明である。我々は腸管に核内受容体の一種PPARγが大量に発現していることからPPARγリガンドの炎症性腸疾患に対する治療効果、その標的分子について検討した。デキストラン硫酸(DSS)腸炎モデルにおいて糖尿病治療薬であるチアゾリジン誘導体などのPPARγリガンドが腸炎発症阻止に有効であることを詳細に解析し、またPPARγ欠損マウスを用いて内因性のPPARγリガンドーレセプターを介した代謝経路が炎症性腸疾患の発症を抑制することを発見した。 (1)DSS腸炎マウスにおいてRosiglitazone(BRL49653),Pioglitazone,Troglitazone等の各種PPARγリガンドはいずれも容量依存的に体重減少の抑制、下痢の軽減化、便潜血の低減化、病理組織学的改善などの腸炎治療効果を示した。 (2)PPARγ欠損マウスではリガンド非投与下に腸炎をおこすと野生型にくらべて有意に激しい腸炎をおこす。これは内因性のPPARγ代謝経路が腸炎発症に抑制的に働いていることを示すと考えられた。 (3)DSS腸炎マウスにおける遺伝子発現プロファイリング:12000個以上の遺伝子のプロファイル解析により、サイトカイン関連の遺伝子についてはPPARγリガンド投与によりTh1関連のサイトカインIFNγ,IL-2,TNFαなどの発現が低下し、逆にTh2関連のサイトカインIL-10,IL-4が著増している。このデータは炎症性腸疾患の治療を考えた際に極めて重要な知見である。 核内レセプターであるPPARγのリガンドの作用としては遺伝子の転写調節作用が考えられ、我々はオリゴヌクレオチドDNAアレイ(GeneChip)を用いて腸炎時及び腸炎にPPARγリガンド投与時の遺伝子発現のプロファイリングを行い新規の知見を多数得ることができた。以上のモデル動物での遺伝子発現のプロファイリングの解析を背景として、現在実際のヒトクローン病での病変部での遺伝子発現のプロファイリングを精力的に進めている。
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Report
(1 results)
Research Products
(6 results)