Research Abstract |
遺伝子変異によらない遺伝子発現制御(epigenetics)として、近年、DNAのメチル化による転写抑制が重要視されてきている。筆者はアイソトープを用いない、ゲノムDNA全体のCpG island特異的なメチレーションの定量法、non-isotopic cytosine extension assay(NICEA)を開発した。この方法はメチレーションの解析を安全、安価に行い、さらに微量の組織でも解析を可能にし、応用範囲を格段に広げるものである。今年度は、NICEAの感度の向上、計測を行い、代表的な自己免疫性疾患である全身性エリテマトーデス(SLE)の末梢血リンパ球からgenomic DNAを分離,CpG island特異的なメチレーションの定量を行った。 その結果、 1、NICEAは通常genome DNA数マイクログラムまでの範囲で定量的解析が可能である。また、genome DNAが10ナノグラム以下でも濃縮操作により解析可能であることがわかった。 2、SLE、皮膚限局型エリテマトーデス(CLE)、コントロールの末梢血リンパ球から抽出したDNAを用い、NICEAを行った。BssHII/MspIではSLE-CLE間で、BssHII/HpaIIではSLE-control間で統計学的に有意差がみられた。HpaII/MspIでは、各群間に差はなかった。 以上の結果から、 3、NICEAは、その広い範囲での定量性から、応用範囲の広い研究法であり、また、DNA arrayによる大規模解析に移る前段階としての、スクリーニングにもなりうる。 4、SLEでの解析では、コントロール、CLEに比べ、CpG island methylationが亢進してると考えられ、SLEのリンパ球機能異常の病態の解明にせまる可能性があると考えられた。
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