Research Abstract |
<背景と目的> 本研究者はこれまでに自己抗原であるTSH受容体遺伝子と免疫制御分子であるCTLA遺伝子を中心に検討し、マイクロサテライト多型マーカーによつてバセドウ病との有意な相関を得た。また、九州大学の笹月・白澤らによつて行われているsib pairを用いたランダムゲノムスクリーニングによるポジショナルクローニングアプローチ研究に参画し、lod score 3以上の興味あるローカスが幾つか見い出している。そこで、本年度はバセドウ病候補遺伝子であるTSHレセプター遺伝子とCTLA-4遺伝子についてサンプル数を増やした第二次シリーズによる関連解析と、ポジショナルクローニングアプローチ研究で検出されたローカスについて関連解析を行った。 <検討結果> 1)候補遺伝子多型について:TSHレセプター遺伝子とCTLA-4遺伝子に関しては、マイクロサテライト多型遺伝子マーカーによる関連解析によって我々は以前81例の患者サンプルを用いてこれら遺伝子または近傍の遺伝子との有意な関連を認めた。今回、349例の患者サンプルを用いて同様の検討を行った。その結果、TSH-AT多型アリル5,TSHR-CA多型アリル1,CTLA4多型アリル2などで有意の関連を認めた。また、これら遺伝子間の相互作用について検討したところ、両ローカスとが独立していることが示唆された。 2)ランダムスクリーニングについて:笹月・白澤らとの共同研究によつて見い出された高いlod scoreを示す単独頂値域は現在10cM間隔でのレゾリューションである。この興味あるローカスについて、さらに5cM間隔でのマイクロサテライトマーカーを用いて関連解析を行い、新たなマーカーでも有意な関連を認めるローカスを見い出した。 <考察> TSHレセプター遺伝子とCTLA-4遺伝子領域の遺伝素因が強く示唆された。ポジショナルクローニングアプローチ研究で検出されたローカスの一部においてバセドウ病の病因と関連が確認された。今後、同領域から候補遺伝子をピツクアツプし、さらに同様の探索をする予定である。
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