Research Abstract |
緑内障とは原則として眼圧の上昇によって引き起こされる視神経の変性による視野障害を中心とした疾患である。しかし近年眼圧が正常にもかかわらず視神経節細胞変性を伴う視野障害をきたす正常眼圧緑内障が緑内障全体の半数以上を占めるという報告もされている。緑内障の遺伝的原因としてはTIGR遺伝子と先天緑内障としてCYP1B1遺伝子の変異が報告されているが、これらの遺伝子の異常できたす緑内障の割合は全体の3%未満であると報告されている。これまでにlocusの報告されているものはGLC1B,GLC1E,GLC3B,GLC1D,GLC1F,GLC1Cがあるが原因遺伝子までは同定されていない。そこで我々は現在網膜視神経節細胞、線維柱帯に発現する遺伝子を対象に開放隅角緑内障患者からのDNAを用いて変異検索を行っている。現在変異検索を行っている遺伝子は眼組織では線維柱帯と網膜視神経節細胞に発現し、常染色体2番に存在している。17個のエクソンより構成されている。この遺伝子の全エクソンとその近傍のイントロンの塩基配列を決定し、SSCP法とシークエンス法により変異を同定を行っているが、現在までのところ、緑内障の原因と判定される変異は発見していない。今後さらに症例を集めるとともにlinkageによりlocusが報告されているものについてはGenebankから候補遺伝子を検索し、そのエクソンイントロン地図を作成して、さらなる変異検索を継続していく。
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