Project/Area Number |
12206052
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas (C)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Review Section |
Biological Sciences
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
原島 俊 大阪大学, 大学院・工学研究科, 教授 (70116086)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金子 嘉信 大阪大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (90161182)
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Project Period (FY) |
2000
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2000)
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Keywords | 酵母 / ゲノム / 染色体の分断 |
Research Abstract |
それぞれの生物のゲノムは、どのようにして現在の姿になったのか、なぜ現在のゲノム量を必要とするのか、染色体の数はどのようにして決まったのかなど、「ゲノムの構築原理」を明らかにすることは、その生命が持つ個々の遺伝子の機能を明らかにすることとは別の次元で、生命を理解するための重要な課題である。こうした「ゲノムの構築原理」の問題にアプローチするには、ゲノムの自在な操作技術、とくに大規模改変技術が必須である。本研究では、「ゲノムの構築原理]の問題にアプローチするのに最も適した生物のひとつである出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae)をモデルに、申請者らが開発した「染色体の分断技術」をキーテクノロジーとして、ゲノムの大規模改変を行う新しいゲノム操作技術を開発することを目的とした。 染色体分断技術を利用して、実際に複数の染色体が次々と分断できるか否かを検討するため、まずURA3、TRP1、HIS3、ADE2、LEU2選択マーカーを持つ染色体分断ベクターを構築した。これらの分断ベクターに、分断の標的部位として、XI番染色体のGCN3遺伝子座、IV番染色体のTRP1遺伝子座、VIII番染色体のGAR1遺伝子座、II番染色体のVPS15遺伝子座、XII番染色体のrDNA遺伝子座を含む約1〜2kbの染色体領域をPCR法によって増幅してクローン化し、これらのベクターを用いてそれぞれの染色体を次々と分断した。その結果、16本の染色体を持つ1倍体酵母細胞から、天然には存在しない21本の染色体を持つ1倍体酵母細胞を造成することができた。 酵母では、約150kb以下の長さの染色体は、細胞分裂の過程において高頻度で脱落することが知られている。従って、染色体の分断技術と、この現象を組合わせれば、様々なゲノム構成を持つ多様な新しい細胞生物を作出したり、様々な環境条件のそれぞれにおいて定義される真核細胞生物の「最小ゲノム単位」を明らかにすることが可能であると考えている。このためには、今後、再利用が可能な選択符号を持つ分断ベクターの構築が必要である。本研究で作出される様々なゲノム組成を持つ酵母細胞は、染色体の数や長さが細胞生理に及ぼす影響、染色体の核内での動態の解析など、基礎生物学の諸問題の研究にも今までにない有用な材料を提供すると期待される。こうした材料を駆使して、「ゲノムの構築原理」を明らかにしていきたい。
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