Project/Area Number |
12206058
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas (C)
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Review Section |
Biological Sciences
|
Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
釣本 敏樹 奈良先端科学技術大学院大学, バイオサイエンス研究科, 助教授 (30163885)
|
Project Period (FY) |
2000
|
Project Status |
Completed (Fiscal Year 2000)
|
Keywords | 1分子解析 / 透過式電子顕微鏡 / 原子間力顕微鏡 / 複製フォーク / クランプ / クランプ ローダー |
Research Abstract |
複製、転写等の基本的な細胞機能は、DNAを足場として多数の関連因子が集合体を形成し、その上で特有の反応を進行する。このため、個々の蛋白質分子の機能の理解には、それらが機能複合体を形成する際の分子集合とその動態を理解することが必須である。この目的には蛋白質の1分子レベルの分解能による形態観察が有効と考えられる。そこで、機能複合体として複製フォーク複合体を研究材料とし、そこに含まれる因子の分子形態と機能との連関を明らかにする。この研究を基にして、機能複合体の構成と分子形態を解析する方法論を確立し、蛋白質機能の解明における分子形態情報の有効性を明らかにすることを目的とする。 蛋白質の白金蒸着試料の透過式電子顕微鏡(TEM)による観察およびナノカーボンプローブを使用した原子間力顕微鏡(AFM)観察を試み、いずれも蛋白質の分子形態観察に有効であることを明らかにした。たとえば、これらの方法により真核生物の複製フォーク構成因子であるクランプ(PCNA)とそのローダー(RFC)の複合体形成過程の解析を行い、それぞれの因子の分子集合様式、サブユニットの配置が明らかにできた。さらにATP添加による構造変化を観察することができた。さらに両者の複合体像が観察され、形成時の各因子間の位置関係を解明することができた。 ここで試みたTEM,AFMによる分子レベルの形態観察は、蛋白質分子の動態、さらにそれらの集合した機能複合体の分子集合を明らかにするのに有効な方法であった。したがって分子形態という情報は蛋白質機能の同定、推定をする上で、有効な要素となりうる。また複合体の集合様式を直接観察することができ、今後研究対象が拡大する高次複合体の解析法として重要性が増加すると思われる。しかし、現在の技術では個々のサブユニット、集合体内のより複雑な位置関係については、解析に限界があり、各構成要素の観察像内での同定法の開発が必要である。この改善によりこれらの方法の有効性はさらに拡大することが期待される。
|