ヒト培養細胞における染色体複製因子群の人為的活性制御に基づいた機能解析
Project/Area Number |
12206062
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas (C)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Review Section |
Biological Sciences
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
小布施 力史 奈良先端科学技術大学院大学, バイオサイエンス研究科, 助手 (00273855)
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Project Period (FY) |
2000
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2000)
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Keywords | 染色体複製 / リボザイム / 質量分析計 / ORC / PCNA / 2次元電気泳動法 / 蛋白質複合体 / 動物細胞 |
Research Abstract |
<背景と目的> ゲノムプロジェクトの進展により、複製因子のホモログのほとんど全てがヒトを含む多くの真核生物に見いだされた。このことは染色体複製という細胞内の基本的機能においてその基盤メカニズムが真核生物全般に保存されていることを示すものである。しかし、動物細胞での染色体複製過程の構築原理はほとんど不明のままである。本研究では遺伝子配列レベルで同定されたにすぎない複製因子群の機能ネットワークをヒト培養細胞を用いて方法論の検証を交えて行うことを目的とした。 <検討結果> 複製因子群の機能ネットワークを解明するための方法の確立を以下の2つの項目について検討した。 (1)ネットワークを構成する因子を、相互作用を指標として精製する技術、それらを質量分析計を用いて同定する技術、さらに相互作用のダイナミクスを2次元電気泳動法で解析する技術を検証し、実際に精製した構成因子の同定する系を確立した。 (2)ネットワークを構成する複製因子の細胞内機能を明らかにするために、リボザイムを用いた機能阻害の系を複製開始因子ORC1についてモデルケースとして検証した。その結果、この因子が細胞周期の進行に必須であることが示唆されたが、致死という形質のためそれ以上の表現形の解析が困難であった。 <考察> 高等動物の質量分析計を用いた蛋白質同定において、質量タグ法が従来のフィンガープリント法よりも簡便かつ確度が高いことを実証した。この方法と複合体の単離技術、2次元電気泳動法による解析を組み合わせることにより、様々な細胞の状況における複製因子群のネットワーク構築のダイナミクスの解析が可能であることが考えられる。一方、リボザイムの系は簡便に目的遺伝子の機能阻害が可能であるが、今後必須遺伝子の機能解析には阻害の程度を制御する方法を検討する必要があると考えられた。上記のほとんどの技術は具体的な解析に使用可能であり、複製因子ORCおよびPCNAにおいてこの解析システムを検証しつつある。今後、ヒト細胞の転写、修復、組み替えなどゲノム構築に必須な複合体の機能解析システムを提供できると考えられる。
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Report
(1 results)
Research Products
(3 results)