Research Abstract |
1.我々が出芽酵母ゲノムの解析から新規に見出したヘリカーゼ様遺伝子のうち、増殖に必須でない遺伝子(YDR332W,YDR291W,YGL064C,YHR031C,YIR002C,YLR419W,YLR247C,YKL017C,YNL218W,YOL095W)、および遺伝子産物がRNA-dependent ATPaseであることを独自に実証した増殖必須遺伝子YDL084Wの合計11個について、lexAシステムを利用した酵母two-hybrid法によって、酵母ゲノムライブラリーから相互作用を持つ蛋白質のスクリーニングを行った。解析が不可能であったYIR002Cを除く10個の遺伝子のうちで、現在までにYKL017Cがそれ自身と、YNL218Wが少なくとも5個の遺伝子産物(YNL218W,SNF1,YMR102C,TEM1など)と相互作用することなどを見出した。特にYNL218Wについては詳細な生理機能の解析を進めている。 2.ゲノム配列データベースから相同性解析によってヘリカーゼ様蛋白質を網羅的に同定し、比較生物学的解析を行った結果、(1)バクテリア、古細菌と真核生物との間ではファミリー構成に明確な違いが存在すること、(2)真核生物間の配列比較から、種特異的な遺伝子群と多様化したサブファミリーが存在することを明らかにした。 3.多細胞生物におけるヘリカーゼ様蛋白質群の生理機能を網羅的に解明することを目的として、遺伝子機能破壊のためのRNAi実験系の立ち上げを行った。モデルとしてYDL084Wの線虫ホモログ(C26D10.2)の機能破壊を行ったところ、胚性致死となり、種を超えて真核細胞の増殖に必須な機能を果たしていることが示唆された。現在、約120個の線虫ヘリカーゼ様遺伝子について、feeding RNAiによる解析を進めている。これまでに発生の遅延、形態異常などの興味深い表現型を示す遺伝子が存在することを確認している。
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