実験的ALSモデルの神経細胞死における分子変化の単一運動ニューロンを用いた検討
Project/Area Number |
12210047
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas (C)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Review Section |
Biological Sciences
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
郭 伸 東京大学, 医学部・附属病院, 助教授 (40160981)
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Project Period (FY) |
2000 – 2001
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2000)
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Keywords | グルタミン酸受容体 / 筋萎縮性側索硬化症 / 脊髄運動ニューロン / RNA編集 / GluR2 / AMPA受容体 |
Research Abstract |
研究代表者等が明らかにした、ALSの脊髄前角におけるAMPA受容体サブユニットであるGluR2mRNA発現および編集率の低下を、単一ニューロンレベルで調べることを目的とした。剖検時凍結保存した正常およびALS剖検脊髄より、凍結切片を作製し、レーザーミクロディセクターを用いて単一ニューロンを脊髄より切り出した。この組織を用いてGluR2サブユニットに対するRT-PCR法・制限酵素による消化によりGluR2サブユニットのRNA編集率を測定した。脊髄運動ニューロン組織は、β-actinのRT-PCR産物が検出できたものについて検討した。2例の正常対照例においては、10個の運動ニューロンのGluR2RNA編集率は、ほぼ100%であった。対象としたALS2例は、前角組織を用いたGluR2 RNA編集率はほぼ0%であり、全ての運動ニューロンで編集率が著減していることが予想されたが、個々の運動ニューロンにおける編集率は0%〜100%の間でばらつきを示し平均値は50%以下であった。以上の結果は、ALSの脊髄運動ニューロンのGluR2 mRNAは編集されていないものの割合が高まっており、GluR2 mRNAの編集の減少により、神経細胞死が生ずることが動物実験より明らかにされていることから、筋萎縮性側索硬化症の脊髄運動ニューロンの細胞死に大きく関与していることを示唆する。また、運動ニューロンにより編集率が異なることは、障害の強さを反映している可能性があり、現象としてはALSの運動ニューロン変性が均一ではない神経病理学的所見と符合している。本研究によりALS脊髄前角でのGluR2 mRNA編集低下が、運動ニューロンに生じていることが明らかになり、AMPA受容体チャネルのCa2+透過性を亢進させる分子変化が運動ニューロンの選択的細胞死の病因と極めて関連が高いことが明らかになった。
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Report
(1 results)
Research Products
(5 results)