Project/Area Number |
12210053
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas (C)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Review Section |
Biological Sciences
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
渡辺 正峰 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助手 (50312989)
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Project Period (FY) |
2000
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2000)
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Keywords | 文脈依存性 / 機能的結合 / Hodgkin Huxley / 脳のコーディング / 時間ヘブ則 / ドーパミン / 遅延強化 |
Research Abstract |
脳のコーディングを扱うモデル研究の多くは、モデルニューロンの減衰時定数等を決めた時点でコーディングを陽に指定してしまうという問題を内包している。この問題を克服するために、生理的に妥当なパラメータを持つHodgkin-Huxleyニューロンの発火前後の入力コンダクタンスに注目し、入力コンダクタンスの値とその4-5msec間の変化量にそれぞれ発火閾値を持つDual Thresholdニューロンモデルを提案した。このニューロンモデルは、Hodgkin-Huxleyニューロンと同様の発火特性を持ちながら、計算量はその数百分の1に過ぎない。 次に計算量が少ないという特徴を生かして、ニューロンを数千オーダーで相互結合させた大規模なネットワークを構築した。その結果、文脈に依存してニューロンの実効的減衰時定数が変化し、発火率コーディングとテンポラルコーディングの両コーディングが同一のネットワーク上で共存可能であることが示された。これは、コーディングが単一ニューロンの特性によって決まるものではなく、ネットワークダイナミクスに依存した入力スパイク時系列の特性によって決まることを示唆している。また、発火時刻と入力スパイクの到着時刻の差でLTPとLTDが逆転する「時間ヘブ則」を適用することにより、繰り返し与えられる外部入力に対して自己組織化が起こり、「機能的結合による多層構造」が出現すると同時に、ニューロンの実効的減衰時定数が減少することが示された。さらに、ドーパミンによって実現される報酬による遅延強化を行うと、テンポラルコーディングから発火率コーディングに移行することが確認された。 この研究の結果、モデル上でテンポラルコーディングと発火率コーディングが文脈に依存して切り替わるデュアルコーディングが示された。最近の生理実験の結果の多くは、感覚入力などを伴う外的イベントに関しては発火率コーディングが使われ、「予測」、「期待」などの内的過程においてはテンポラルコーディングが用いられる可能性を示唆している。
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Report
(1 results)
Research Products
(5 results)