アルツハイマー病プレセニリン複合体の構成蛋白同定と機能解析に関する研究
Project/Area Number |
12210077
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas (C)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Review Section |
Biological Sciences
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Research Institution | Shiga University of Medical Science |
Principal Investigator |
西村 正樹 滋賀医科大学, 分子神経科学研究センター, 助教授 (40322739)
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Project Period (FY) |
2000
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2000)
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Keywords | アルツハイマー病 / プレセニリン / γセクレターゼ / βアミロイド / ニカストリン |
Research Abstract |
目的及び背景;アルツハイマー病の根本病態がAβペプチドの代謝異常であるとする仮説が有力視されているなか、家族性アルツハイマー病の原因遺伝子産物プレセニリンの機能もこのAβ代謝過程に位置付けられてきた。すなわち、Aβが前駆体蛋白であるAPPから蛋白限定分解により生成される過程に必須であるγセクレターゼがプレセニリンであることを示す知見が蓄積されている。しかし、プレセニリンは単独ではγセクレターゼ活性を有さず、膜に関連した蛋白複合体を構成してはじめてその機能を獲得することが示唆される。本研究課題はこの複合体の構成蛋白を同定することからγセクレターゼの実体とその活性調節機構の解明を図ることを目的としている。 方法と結果;特異抗体を用いて細胞膜分画よりプレセニリン複合体を精製し、各構成蛋白のペプチド断片を質量解析することによりアミノ酸配列を推定するという手法により新規の構成蛋白を同定した。この蛋白はタイプI膜貫通糖蛋白であり、ニカストリンと命名した。ニカストリンはプレセニリンに加えAPPとも結合すること、その結合はプレセニリンの変異による影響を受けること、ニカストリンの細胞外にあるDYIGS配列を含む領域の欠損変異はAβ分泌を抑制する一方、AAIGSへのミスセンス変異はAβ分泌を亢進させることなどが明らかとなった。また、APPとともにγセクレターゼの基質として知られるNotch蛋白との関連を調べるために線虫を用いた発現抑制実験を行った結果、ニカストリンはNotchシグナル伝達に必要であることも示された。 考察;ニカストリンはプレセニリン複合体の構成蛋白であり、複合体のγセクレターゼ活性の発現に不可欠な要素であると考えられた。また、細胞のAβ分泌能を抑制ないし亢進させ得るニカストリン変異を同定したことを含め、本成果はプレセニリンとともにニカストリン分子を考慮に入れた本症の治療法開発への新たな可能性を示唆するものである。
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Report
(1 results)
Research Products
(6 results)