HGFおよびそのファミリー因子の作用分子機構の解析と神経変性疾患への適用
Project/Area Number |
12210102
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas (C)
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Review Section |
Biological Sciences
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
船越 洋 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (40273685)
|
Project Period (FY) |
2000
|
Project Status |
Completed (Fiscal Year 2000)
|
Keywords | HGF / c-Met / 神経栄養因子 / 筋萎縮性側索硬化症(ALS) / 運動ニューロン / グルタミン酸 / トランスジェニックマウス / 神経変性疾患 |
Research Abstract |
神経変性疾患に対する新規神経栄養因子としてのHGFの機能解析: 戦略として、まず神経特異的HGF発現トランスジェニックマス(HGF-Tg)を作成し、これと神経変性疾患モデルトランスジェニックマウスを交配した。このことで、HGF遺伝子を疾患マウスの神経細胞に直接長期間発現せることができる。このアプローチでスマートにHGFの神経変性疾患に対する効果を解析した。 (1)筋萎縮性側索硬化症(ALS)に対するHGF遺伝子供給の効果の解析:まず神経特異的HGF発現トランスジェニックマウス(HGF-Tg)を作成した。HGF-Tgは、生後HGFを神経細胞特異的に発現し、発生過程で運動ニューロン数、筋肉湿重量等に修飾のないラインを選択した。このHGF-TgラインとALSのモデルトランスジェニクマウス(ALS-Tg:SOD1G93A)を交配し、Wildtype、HGF-Tg,ALS-Tg,ALS/HGF-Tgの4群について解析を加えた。ALS-Tgでは、約7ヶ月で運動麻痺を起こし7ヶ月半で死亡してしまうのに対し、ALS/HGF-Tgでは麻痺の発症が遅延し寿命が大幅に延長した。より重篤なALS(+/+)マウスにおいても発症遅延および延命効果があることを明らかにした。さらにALS(+/+)/HGF-Tgでは運動機能も改善し、運動ニューロン数の減少や軸索変性を効果的に抑制することが明らかとなった。メカニズムとしてはcaspase-1の誘導抑制およびAktのリン酸化等運動ニューロンに対する直接的神経栄養効果に加えて、グリア細胞に働きグルタミン酸毒性を抑制している可能性が示唆され、HGFは従来の神経栄養因子に加えた新しいメカニズムを介してより有利にALSに作用することが示唆された。現在筋肉特異的HGF発現トランスジェニックマウスの作成も進めており、これとのトリプルトランスジェニックマウスを作成することでどこまでHGFがALSに寄与できるかの確認を急ぐとともに、HGF供給法の検討も開始する。 (2)アルツハイマー病およびパーキンソン病に対するHGFの機能解析:HGFは、大脳皮質、海馬および中脳ドーパミン作動性ニューロンに対して神経栄養活性をもつ。HGFが神経変性疾患で惹起されるこれらの神経細胞死を効率良く抑制し機能を改善するかを解析するため、HGF-Tgをアルツハイマー病モデルトランスジェニックマウスと交配したダブルトランスジェニックマウスを作成している。
|
Report
(1 results)
Research Products
(6 results)