Project/Area Number |
12210115
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas (C)
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Review Section |
Biological Sciences
|
Research Institution | Kochi Medical School |
Principal Investigator |
椛 秀人 高知医科大学, 医学部, 教授 (50136371)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
谷口 睦男 高知医科大学, 医学部, 助手 (10304677)
高橋 聖一 高知医科大学, 医学部, 助教授 (40271093)
|
Project Period (FY) |
2000
|
Project Status |
Completed (Fiscal Year 2000)
|
Keywords | フェロモン / 記憶 / 副嗅球 / 樹状突起間相反性シナプス / イオンチャネル型グルタミン酸受容体 / 代謝型グルタミン酸受容体 / 一酸化窒素合成酵素mRNA / ムシモール |
Research Abstract |
雄マウスの尿中フェロモンは雌マウスに発情をもたらし、繁殖に重要な役割を果たしている。しかし、この効果が受胎して間もない雌に誘起されると妊娠阻止に帰着することになる。そこで雌マウスは、雄フェロモンによる妊娠阻止を防ぐために、交尾刺激を引き金として交配雄のフェロモンを記憶し、この記憶によって妊娠を保障している。この記憶を支えるシナプスの可塑性は、鋤鼻系の最初の中継部位である副嗅球において起こる。副嗅球の中継ニューロンであるグルタミン酸作動性僧帽細胞は副嗅球に内在するGABA作動性顆粒細胞との間に、樹状突起同士の相反性シナプスを形成している。交尾刺激により賦活されたノルアドレナリン神経の働きを引き金として、種々の情報分子が関わり、僧帽細胞から顆粒細胞への興奮性シナプスに形態変化が生ずることをわれわれは示してきた。また、副嗅球のグリア細胞がフェロモンの記憶形成に重要な役割を果たしていることも明らかにした。 本研究では、これまでの成果を基盤として、フェロモン記憶のメカニズムを分子生理学的に解析した。 1.フェロモン記憶に関わる副嗅球の僧帽細胞と顆粒細胞との樹状突起間シナプス伝達をスライスパッチクランプ法により解析し、顆粒細胞を介した僧帽細胞のフィードバック抑制に顆粒細胞のN-methyl-D-aspartate(NMDA)受容体が重要な役割を演じていることを明らかにした。一方、代謝型グルタミン酸受容体mGluR2の活性化は逆にこのフィードバック抑制を抑制した。 2.副嗅球の顆粒細胞には非常に高い一酸化窒素合成酵素活性が認められる。我々はすでに、一酸化窒素発生剤を副嗅球へ注入すると、記憶形成が促進されることを証明している。今回、フェロモン記憶形成の臨界期に神経型一酸化窒素合成酵素mRNAの発現が有意に増大することを認めた。 3.フェロモン記憶形成の臨界期にGABA_A、受容体のアゴニストであるムシモールを副嗅球へ注入しても記憶形成を阻害しないとの知見を得た。
|
Report
(1 results)
Research Products
(3 results)