遺伝子制御を伴う選択的シナプス可遡性の分子機構の解明
Project/Area Number |
12210138
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas (C)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Review Section |
Biological Sciences
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
井ノ口 馨 早稲田大学, 理工学総合研究センター, 助教授 (20318827)
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Project Period (FY) |
2000
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2000)
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Keywords | シナプス可塑性 / 長期増強 / 遺伝子調節 / 足場タンパク質 / 海馬 |
Research Abstract |
vesl-1S遺伝子は海馬の長期持続型LTP(L-LTP)に伴い発現が誘導される。遺伝子産物であるVesl-1Sタンパク質はmGluR1/5やIP3受容体と相互作用する足場タンパク質であり、これら受容体のシナプス部位での機能的な配置を調節していると考えられている。 Vesl-1Sを特異的に認識する抗体を作成し、シナプス可塑性に伴うVesl-1Sタンパク質の細胞内局在を調べた。海馬歯状回の1つの顆粒細胞はentorhinal cortexからmedial-(MPP)とlateral-(LPP)perforan pathの2つの入力を受けている。顆粒細胞とMPPのシナプスは主にmiddle molecular layer(MML)に、顆粒細胞とLPPのシナプスは主にouter molecular layer(OML)に局在している。無麻酔自由行動下雄ラットの貫通線維にテタヌス刺激を与えLTPを誘導しVesl-1Sタンパク質の局在を観察した。L-LTPを誘導するテタヌス刺激をあたえるとvesl-1S mRNAの発現誘導は顆粒細胞体層で認められたが、シナプス層であるMML/OMLには認められなかった。これに対し、長期持続型テタヌスをMPPに与えた時にはMMLに、LPPに与えた時にはOMLにVesl-1Sタンパク質の選択的な局在が観察された。シナプス前である同側のECには顕著なvesl-1S mRNAの発現誘導やVesl-1Sタンパク質の局在変化は認められながった。免疫電子顕微鏡法による解析の結果、Vesl-1Sタンパク質はシナプス後に存在していた。これらの事より神経細胞の可塑的変化に伴い細胞体で合成されたVesl-1Sタンパク質を、入力を受けたシナプス特異的に輸送する機構が存在することが明らかとなった。 現在、より詳細な解析が可能なin vitro系、すなわち海馬初代培養ニューロンでVesl-1Sタンパク質の細胞内挙動をリアルタイムで解析できる系を開発中である。
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Report
(1 results)
Research Products
(6 results)