目標志向行動における異種情報の統合に果たす前頭連合野の役割
Project/Area Number |
12210161
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas (C)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Review Section |
Biological Sciences
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Organization for Medical Research |
Principal Investigator |
渡辺 正孝 財団法人東京都医学研究機構, 東京都神経科学総合研究所, 副参事研究員 (50092383)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小島 崇 財団法人東京都医学研究機構, 東京都神経科学総合研究所, 研究員 (30225429)
彦坂 和雄 財団法人東京都医学研究機構, 東京都神経科学総合研究所, 研究員 (60129004)
児玉 亨 財団法人東京都医学研究機構, 東京都神経科学総合研究所, 主任研究員 (20195746)
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Project Period (FY) |
2000
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2000)
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Keywords | 認知情報 / 情動・動機づけ情報 / 報酬期待 / 予測 / 前頭連合野外側部 / 前頭眼窩野 / PET実験 / マイクロダイアリシス実験 |
Research Abstract |
1、認知情報と情動・動機づけ情報の統合に果たす前頭連合野の役割を調べるため、前頭連合野の中で情動、動機づけにより重要な役割を果たしている「前頭眼窩野」のニューロン活動を詳しく調べた。サルには4試行を1つのブロックとして、異なった報酬が常に同じ順序で与えられるような課題を訓練した。 2、サル前頭眼窩野にはA)ブロック内の報酬の「順序」を「モニター」することに関係した活動を示すニューロン、B)その順序に基づいて、各試行ではどのような報酬がもらえるのかを「予測」することに関係した活動を示すニューロン、C)その予測に基づいて、報酬がもらえるのを待っている間に特定の報酬を「期待」することに関係した活動を示すニューロンが見られた。さらにD)こうしたニューロンの報酬期待関連活動は、動物の報酬に対するモチベーションに依存しており、「特定の報酬」というよりは「特定の報酬価」の予測に関係していることが明らかになった。 3、以上の結果から、前頭眼窩野は、動物が行動を起こす事により得られた結果から、次にどのような結果が得られるかを今までの経験(学習)に基づいて予測・期待する機能に関与していることが示された。これは、ヒトの前頭眼窩野が過去の報酬や罰に基づいて行動結果を予測し、それにより行動を支配する役割を果たしている、とするダマジオらの臨床研究に基づく説とも一致している。 4、前頭眼窩野は情動・動機づけ機能に関わるだけではなく、順序情報のモニター、順序に基づく予測などの認知機能にも関わっており、しかもそれが動機づけ情報と統合されていることが明らかになった。 5、こうしたニューロン活動の研究とともに、異なった報酬のもとで課題を行ったときには、前頭連合野の背外側部と前頭眼窩野間で活動性に差がみられるかどうかを部位別脳活動量で調べるPET実験と、神経伝達物質の放出を調べるマイクロダイアリシス実験も開始している。
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Report
(1 results)
Research Products
(4 results)