タウ蛋白異常疾患脳におけるタウの代謝・処理過程の研究
Project/Area Number |
12210163
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas (C)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Review Section |
Biological Sciences
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Organization for Medical Research |
Principal Investigator |
新井 哲明 財団法人東京都医学研究機構, 東京都精神医学総合研究所, 主任研究員 (90291145)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
秋山 治彦 財団法人東京都医学研究機構, 東京都精神医学総合研究所, 副参事研究員 (20231839)
池田 研二 財団法人東京都医学研究機構, 東京都精神医学総合研究所, 参事研究員 (90232181)
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Project Period (FY) |
2000
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2000)
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Keywords | タウ / リソゾーム / アストロサイト / ロイペプチン |
Research Abstract |
本研究の目的は、タウのリソゾーム系の代謝機構を明らかにするとともに、それらの異常とタウの蓄積との関連性を検討することである。ヒト神経芽細胞腫由来の細胞株(IMR32、NB-1)及びラット胎児脳からの初代培養より得たアストロサイトを用い、それらをロイペプチン(100μg/ml)存在下で培養後固定し、抗タウ抗体を用いて免疫組織化学染色及び免疫電顕法を施行した。さらに、細胞を1%SDS及びプロテアーゼ阻害剤を含んだTris bufferでホモジナイズし、遠心後の上清を用いてイムノブロットを行った。対照として、アプロチニン(100μg/ml)投与群及び薬剤非投与群についても同様の処理を行った。ロイペプチンによるリソゾーム阻害は、アミロイド前駆体蛋白(APP)の蓄積を指標とし、その染色にはR37を用いた。IMR32、NB-1、初代培養アストロサイトのいずれにおいても、ロイペプチン投与により、APPの顆粒状の細胞内蓄積像が観察された。アストロサイトでは、細胞質内に多数の空胞が観察された。アストロサイトの抗タウ抗体による免疫染色では、A0024、T46、PHF-1の免疫反応性が増強しており、タウは細胞質内で顆粒状に染色された。免疫電顕では、細胞質内においてリポピグメントの増加とともにタウ陽性の顆粒状構造物が多数観察された。これらの変化は、アプロチニン投与群及び薬剤非投与群では観察されなかった。細胞懸濁液のイムノブロットでは、ロイペプチン投与群において、対照群と比較して60及び53kdの全長ダウに比して40kd以下のタウ断片の割合が増加していた。その原因としては、リソゾーム阻害によってタウの分解が阻害されたことによりその中間産物が増加した、あるいはリソゾーム阻害に伴ってupregulateされる他のプロテアーゼによる分解機構が働いた可能性等が考えられた。IMR32とNB-1では、いずれの群においてもタウの免疫反応性に明らかな違いは認められなかった。以上より、少なくともアストロサイトにおいて、リソゾーム阻害によりタウの細胞内蓄積が生じる可能性が示唆された。
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Report
(1 results)
Research Products
(4 results)