モデル動物を用いたHTLV-I発がんおよび関連疾患発症機構の解析
Project/Area Number |
12213005
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas (C)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Review Section |
Biological Sciences
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
吉木 敬 北海道大学, 大学院・医学研究科, 教授 (60220612)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柴田 雅彦 北海道大学, 医学部・附属病院, 医員 (80301886)
池田 仁 北海道大学, 大学院・医学研究科, 助教授 (20232192)
志田 壽利 北海道大学, 遺伝子病制御研究所, 教授 (00144395)
石津 明洋 北海道大学, 大学院・医学研究科, 助手 (60321957)
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Project Period (FY) |
2000
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2000)
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Budget Amount *help |
¥4,200,000 (Direct Cost: ¥4,200,000)
Fiscal Year 2000: ¥4,200,000 (Direct Cost: ¥4,200,000)
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Keywords | HTLV-I / 動物モデル / アポトーシス / トランスジェニック / DNAアレイ / 胸腺 / 自己免疫疾患 / crm1 |
Research Abstract |
HTIV-I発がんおよび関連疾患発症機構について動物モデルを用いて解析した。 下肢痙性麻痺を発症するHTLV-I持続感染ラット(HAMラット)の脊髄オリゴデンドロサイトでは、麻痺の出現に先行してpXおよびTNF-αの発現亢進とbcl-2の発現抑制が認められた。pXの発現亢進とそれにより誘導されるTNF-αの発現亢進およびbcl-2の発現抑制を介したオリゴデンドロサイトのアポトーシスが脱髄に関与する主要な分子細胞病態と考えられる。 lck-pXラット胸腺腫細胞では、Fas ligand、TRADD、FADDの発現が正常胸腺上皮細胞に比し低下していた。これらアポトーシス関連分子の発現低下は胸腺腫細胞の増殖性維持に関与している可能性がある。一方、lck-pXラット胸腺腫は初期病変が髄質に存在し、UEA-1陽性を示すので、髄質の上皮細胞が腫瘍化したものと考えられる。骨髄移植実験により、lck-pXラット胸腺腫の起原となる細胞は骨髄浮遊系分画中に存在することが明かとなった。このことは胸腺髄質の上皮細胞が骨髄浮遊系細胞由来である可能性を示している。 また、種々の自己免疫疾患を発症するLTR-env-pXラットの解析では、標的となる臓器により発症機序が異なることが明らかとなり、中でも血管炎の発症には、env-pX遺伝子を発現する胸腺におけるリンパ球の分化異常が主要な病因となっている可能性が示唆された。 HTLV-Iは細胞の恒常性維持に関わる様々な分子の発現異常をもたらすことにより宿主細胞の細胞死や腫瘍化を誘導すると考えられるが、HTLV-I感染症の最も重要な課題のひとつである白血病発症モデルは未だ作製されていない。申請者らは、HTLV-I感染に対する高感受性が期待されるヒトcrm1遺伝子導入ラットを作製し、このラットにHTLV-Iを持続感染させて白血病誘導を試みる研究を現在進行中である。
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Report
(1 results)
Research Products
(10 results)