皮膚三次元培養モデルにおけるヒトパピローマウイルス複製機構の解析
Project/Area Number |
12213061
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas (C)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Review Section |
Biological Sciences
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
酒井 博幸 京都大学, ウイルス研究所, 助教授 (80281731)
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Project Period (FY) |
2000
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2000)
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Budget Amount *help |
¥4,700,000 (Direct Cost: ¥4,700,000)
Fiscal Year 2000: ¥4,700,000 (Direct Cost: ¥4,700,000)
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Keywords | パピローマウイルス / ウイルス発がん / テロメラーゼ / 細胞周期 |
Research Abstract |
1.HPV陽性癌細胞におけるE6/E7発現の意義に関する研究.HPV陽性癌細胞としてはHeLaやSiHa、Caski細胞を用いた。これらの細胞内では活性を有するE6/E7の発現が認められ、この研究ではHPV16由来のE2を発現させることでE6/E7のプロモーター活性を抑え、その効果を検討した。HPV陽性癌細胞でE6/E7の発現を抑えると細胞増殖が抑制され、この抑制はE7の発現を補うことで解除された。しかしE6の発現は細胞の増殖性には影響しないことが分かった。E7の機能として、RBファミリー蛋白と相互作用してその機能を阻害する活性が知られている。E7の変異体を用いることで、ここで見られた細胞増殖に対する効果にはE7-RB相互作用が重要であることを示した。増殖停止した細胞がsenescenceの状態にあることが確認されたので細胞内のtelomerase活性を評価したところ、E7の発現低下と共にtelomerase活性が抑制されることを見出した。E7発現低下による細胞増殖抑制がtelomerase活性を補うことで部分的に解除されることから、細胞の増殖性の維持機構にtelomerase活性、あるいはtelomere構造が関わっていることが示唆された。 2.HPV E4遺伝子機能の解析.ハイリスク型のHPV由来のE4遺伝子をHeLa細胞内に発現させるとG2期の細胞集団の増加と細胞増殖性の低下が認められた。同様の活性を持つことが知られるHIV-1のVprの活性と比較してみると、ほぼ同程度の活性を持つことが分かった。増殖停止した細胞では有意のapoptosisは検出されなかったが、BrdUの取り込みなどの解析からDNA合成のre-entryが起こっていることが確認された。E4とGFPとの融合タンパクは既に報告されているサイトケラチンの崩壊を引き起こす活性を保持しているが、細胞周期への影響を失っていた。このことはこれらの2つの活性が独立した機序を持つことを示している。 3.皮膚三次元培養モデルにおけるHPV DNA複製機構の解析.ヒトの初代培養角化細胞(keratinocyte)を用いて皮膚モデルを構築し、その培養系においてHPV DNAの複製を再現した。ウイルスDNAはHPV18をもとに作成したplasmid状の構造を持つもので、同じDNAからblasticidin S耐性遺伝子を発現するものである。このplasmidを角化細胞に導入し、薬剤選択を行った後に皮膚モデルの構築を行うとウイルスDNAのコピー数の増大が観察された。今後はこの系をもとにして必要な遺伝子やcisエレメントの同定を行う予定である。
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Report
(1 results)
Research Products
(5 results)