ヒト不死化細胞株を用いた各種腫瘍組織における癌関連遺伝子異常の解析
Project/Area Number |
12213109
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas (C)
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Review Section |
Biological Sciences
|
Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
森内 良三 長崎大学, 医学研究科, 助教授 (60210142)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
前田 隆浩 長崎大学, 医学部, 講師 (40284674)
|
Project Period (FY) |
2000
|
Project Status |
Completed (Fiscal Year 2000)
|
Budget Amount *help |
¥3,400,000 (Direct Cost: ¥3,400,000)
Fiscal Year 2000: ¥3,400,000 (Direct Cost: ¥3,400,000)
|
Keywords | がん関連遺伝子 / ヒト不死化細胞 / ATL / HTLV-1 / Tgat / Trio / RhoGEF / 発現cDNAライブラリー |
Research Abstract |
【目的】成人T細胞白血病ウイルス(HTLV-1)による発がん機構の研究は、特異的な転写活性化因子であるTAXの機能解析を中心に行われ、発がん初期段階において重要な役割を担っていることは明らかである。しかしながら、HTLV-1感染からATL発症にいたる細胞側要因は未だ解明されていない。本研究では、ATL腫瘍細胞特異的に活性化されたがん関連遺伝子をクローニングし、その構造・機能を解析することを目的とした。 【方法】新鮮ATL腫瘍細胞から直接RNAを抽出し、発現cDNAライブラリーを作製した。NIH3T3またはヒト不死化細胞株RPE-1に導入後、フォーカスを形成した細胞からPCR法にてcDNAをレスキューし、その構造と機能解析を行った。 【結果・考察】フォーカス形成能、軟寒天におけるコロニー形成能、およびヌードマウスにおける腫瘤形成能のすべてを有するcDNA(transforming gene in ATL tumor cell;Tgat)を得た。その遺伝子構造は、全長1574bpで、255個のアミノ酸をコードするORFを有していた。そのアミノ酸配列はDbl familyに属するTRIOのGEF-D2と相同であった(TRIOはspectrin-like domain,GEF-D1,PH-D1,GEF-D2,PH-D2,Ig-like domain,S/T kinase domainを有する多機能タンパク質である)。しかし、ORF領域の一部、及び3′-UTR領域はデータベース上の既知のcDNAやESTとhomologyを示さなかった。TRIOゲノム配列との比較の結果、Tgatは選択的スプライシングによってTRIOのGEF-D2をコードする9個のエクソンとtrio遺伝子の下流に存在する1個のエクソンで構成されることが明らかとなった。Tgatは正常ヒトやHTLV-1健常キャリア末梢血リンパ球、およびヒトT細胞株、HTLV-1感染細胞株であるMT-2では全く発現していないが、急性型ATLおよび一部の慢性型ATL、さらにATL腫瘍細胞由来と考えられる細胞株で特異的に発現していた。Tgatに特異的な領域であるC末を欠失させるとトランスフォーム能は消失し、またTgatをNIH3T3細胞やSwiss3T3細胞に一過性あるいは定常的に発現させることでアクチンストレスファイバーが明瞭に観察できた。すなわち、TgatはRhoの下流のエフェクターを活性化すること示しており、TgatのATL腫瘍細胞における異所性発現が細胞の悪性度や浸潤能などになんらかの影響を与えている可能性が示唆された。
|
Report
(1 results)
Research Products
(4 results)