増殖因子受容体がん遺伝子産物の酸化的構造修飾による活性化の機序と意義
Project/Area Number |
12215059
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas (C)
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Review Section |
Biological Sciences
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
中島 泉 名古屋大学, 医学部, 教授 (40022826)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 治彦 名古屋大学, 医学部, 助教授 (90283431)
加藤 昌志 名古屋大学, 医学部, 助教授 (10281073)
|
Project Period (FY) |
2000
|
Project Status |
Completed (Fiscal Year 2000)
|
Budget Amount *help |
¥3,500,000 (Direct Cost: ¥3,500,000)
Fiscal Year 2000: ¥3,500,000 (Direct Cost: ¥3,500,000)
|
Keywords | がん遺伝子 / RET / 酸化ストレス / 紫外線 / 2量体 / システイン残基 / 酸化還元 / S-S結合 |
Research Abstract |
がん遺伝子の多段階の傷害によって発生するがんの増殖は、さまざまな環境要因の働きによって変化する。環境因子によるがん遺伝子産物の構造修飾のがんの増殖・悪性化における意義を明らかにすることは、がんを制圧する上で重要である。筆者らは、恒常的に活性化状態にある増殖因子受容体がん遺伝子RETの産物が、環境ストレスによる酸化的構造修飾(RET蛋白のS-S結合による2量体化)を受けてさらに高度に活性化することを先に見い出した。 本年度では、RETキナーゼ分子のどのアミノ酸が酸化的に修飾されて2量体化と活性化がおこるかを、各種ミュータント分子を用いる実験を中心に解析した。 I.c-RETの細胞外ドメインを欠失するRET-PTC-1を導入したNIH3T3細胞に紫外線を照射したり浸透圧ストレスを作用させたりした場合にも、RETに2量体化と活性化が誘導された。このことから、標的となるアミノ酸は細胞内にあると考えられた。 II.細胞内キナーゼドメインの中にあって、多くのチロシンキナーゼに広く保存されている2つのアミノ酸残基、RET-PTC-1のCys365とCys376、およびc-RETのCys976とCys987のそれぞれ、または両方をアラニンに置換した変異RETを作製し、これをNIH3T3細胞に導入して、紫外線/浸透圧ストレス感受性を調べた。その結果、RET-PTC-1-C365Aはほぼ正常にこれらのストレスに反応したのに対して、RET-PTC-1-C376Aやc-RET-C987Aでは、2量体形成は認められず、キナーゼ活性の増加もなかった。 この成績から、チロシンキナーゼに保存されたシステイン残基の1つであるRET-PTC-1のCys376、すなわちc-RETのCys987が、細胞内の酸化ストレスのセンサーとなって、チロシンキナーゼの活性調節に重要な役割を担うことが示唆された。
|
Report
(1 results)
Research Products
(6 results)