Project/Area Number |
12215101
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas (C)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Review Section |
Biological Sciences
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
佐藤 賢一 神戸大学, 遺伝子実験施設, 助手 (30235337)
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Project Period (FY) |
2000
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2000)
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Budget Amount *help |
¥3,100,000 (Direct Cost: ¥3,100,000)
Fiscal Year 2000: ¥3,100,000 (Direct Cost: ¥3,100,000)
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Keywords | 細胞がん化 / がん遺伝子 / 蛋白質チロシンリン酸化 / シグナル伝達 / A431細胞 / Src / Stat / ホスホリパーゼC-gamma |
Research Abstract |
本研究で私たちは「細胞膜受容体刺激に伴うチロシンキナーゼSrcの活性化にアダプター分子Shcが関与する」との仮説を立て、2つのモデル実験系〜がん細胞A431(上皮成長因子による受容体刺激)及びツメガエル卵(受精による受容体刺激)〜を用いて以下の3項目を明らかにした。1.ShcとSrcの相互作用とSrc活性化の相関。2.Shc-Src相互作用を伴う細胞応答。3.変異型ShcによるSrc活性化/細胞応答の阻止。さらに私たちは活性化Srcの標的因子として、がん細胞A431では転写因子Statを、ツメガエル卵では脂質分解酵素ホスホリパーゼC-gammaを同定した。前者は細胞増殖停止に、後者はカルシウム動員/卵活性化に働く分子である。以上の結果は、発がん/がん形質維持に働く2つの原がん遺伝子産物Src/Shcの相互作用が、細胞死や発生開始という細胞がん化の対局にある現象にも関わることを示している。インビボでのShcとSrcの相互作用の証明やとSrc活性化との関連づけが年度はじめに行えたことで、主要な課題であった標的因子同定の作業に多くの時間を費やすことが出来た。最終的には特定のShc分子種のみがSrc活性化やその標的分子のリン酸化に効果を持つことを示すことができそうで、同時並行で行っているShc-Src相互作用/Src活性化の試験管内再構成実験の結果と共に、2001年中に論文発表を行う予定である。受精/発生開始を待つ卵という、がん細胞と対局にある実験系でSrc型チロシンキナーゼの生理機能を解析していくことは、Srcがそのおかれた細胞環境に応じて、多面的な機能を発揮しうることを示していくことにつながる。またある意味で、発生開始とがん化や細胞死といった一見大いに相反するように見える生命現象が、実は極限られた細胞内シグナル分子の微妙な挙動の違いに由来するものであることを見ていくことになるかも知れない。
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