Budget Amount *help |
¥3,900,000 (Direct Cost: ¥3,900,000)
Fiscal Year 2000: ¥3,900,000 (Direct Cost: ¥3,900,000)
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Research Abstract |
我々は,ギャップ結合とくにCx32が肝がん発生を抑制するメカニズムを解明するために,Cx32欠損マウスを用いて,Cx32と肝細胞の増殖および分化に焦点を絞ってin vivoおよびin vitroで検討した。In vivoの実験では,部分肝切除後,Cx32欠損マウスではwild typeマウス(C57BL/6)と比較して肝細胞の増殖抑制がみられた。Cx32欠損マウスの発がん物質投与実験より,Cx32欠損マウスはwild typeマウスと比較して肝腫瘍の増加がみられた。In vitroの実験では,まず初代培養ラット肝細胞の解析結果から,肝細胞に発現しているギャップ結合蛋白であるCx32とCx26のうち,Cx32が上皮の分化の指標のひとつであり細胞の極性に関与しているタイト結合と密接な関係があることが分かった。次に,Cx32欠損マウスの初代培養肝細胞の解析結果から,Cx32欠損マウスの肝細胞の増殖度の明らかな増加がみられた。さらに,Cx32欠損マウスの初代培養肝細胞から継代培養により肝細胞株を樹立し,この細胞株にCx32遺伝子を再導入した結果,タイト結合の誘導およびアクチン形成の増強がみられ,分化の亢進が認められた。以上のことより,Cx32が肝がん発生を抑制するメカニズムとしては,Cx32の発現およびそれを介した細胞間コミュニケーションが,肝細胞の増殖だけでなく分化をも調節している可能性が考えられた。
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