Budget Amount *help |
¥3,000,000 (Direct Cost: ¥3,000,000)
Fiscal Year 2000: ¥3,000,000 (Direct Cost: ¥3,000,000)
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Research Abstract |
細胞の増殖・分化と細胞死の制御はがん細胞生物学における重要なテーマであり,近年この経路に関与する多くのシグナル伝達分子の役割が明らかになりつつある.ヒトグリオーマ細胞株は通常,酸化ストレスや抗がん剤に耐性であり,その機序の解析はがん治療上大変重要である.私どもは,酸化ストレスやエトポシドによるアポートシス抵抗性に,接着斑キナーゼFAKが重要な役割を持つことを報告してきた(Sonodaら,1999).今年度は,FAKの抗アポトーシス作用のおける詳細な役割解析のため以下の検討を行った. 1.FAK遺伝子高発現系クローンの樹立:一般にHL-60のような白血病細胞への遺伝子導入効率は低く,一過性導入の評価が検定しにくいため,恒常的に発現するクローンを樹立した.一方,グリオーマ細胞株では,アデノウイルスベクター(AxCA)を用いて,一過性であるが高発現の遺伝子導入し,アポトーシス耐性を検討した.2.FAK遺伝子導入HL-60とグリオーマ細胞株でのアポトーシス耐性の検討:FAK遺伝子を導入した細胞では酸化ストレス,エトポシドならびに放射線に対する耐性が見られた.この耐性にはFAKからPI3-キナーゼ,Akt/PKBを介するNF-kB活性化とアポトーシス阻止因子(IAP)の誘導経路が関与していることを明らかにした.3.SH2結合部位変異体であるY397F変異体を導入した場合は,アポトーシス耐性を失い,さらにアポトーシス刺激に対しても感受性を示した.4.免疫抑制剤として開発中のFTYは,1-10μMの濃度でヒトグリオーマ細胞株に対してアポトーシスを誘導した.この機序として,FTYは内在性のFAKの脱リン酸化を引こ起こし,FAK-PI3キナーゼ系のサバイバル経路を遮断することがわかった.また,FTYによるアポトーシスの実行分子として,カスパーゼ-6を確認した.
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