Project/Area Number |
12217006
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas (C)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Review Section |
Biological Sciences
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
細川 真澄男 北海道大学, 遺伝子病制御研究所, 教授 (20001901)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤堂 省 北海道大学, 大学院・医学研究科, 教授 (60136463)
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Project Period (FY) |
2000
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2000)
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Budget Amount *help |
¥4,900,000 (Direct Cost: ¥4,900,000)
Fiscal Year 2000: ¥4,900,000 (Direct Cost: ¥4,900,000)
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Keywords | TGF-β / 担癌生体 / ラット肝癌細胞 / 免疫抑制 / 低用量化学療法 / 免疫応答性 / ブレオマイシン / Th1 typeサイトカイン |
Research Abstract |
癌細胞が産生するTGF-βが担癌における免疫低下の要因となっている可移植性肝癌KDH-8細胞移植したラットを用いて、低用量のブレオマイシン(BLM)、5-FU、シスプラチナム(CD DP)による癌化学療法が、この癌細胞のTGF-β産生を選択的に抑制しうるか否か検討した。その結果、BLMが腫瘍組織に産生されるTGF-βを有意に減少させことが、免疫組織抗体法による癌増殖局所の観察、Northern blot法による遺伝子発現、Western法による蛋白量、MvLU1細胞による活性の検索で明らかになった。このTGF-β産生の抑制は選択的であり、担癌ラット脾細胞のIL-2、IFN-γ、TNF-αなどのTh1 typeのサイトカイン産生能は有意に回復する。BLM10μg/ml添加培地で培養されたKDH-8細胞のTGF-β産生量が有意に抑制され、非添加培養上清中のTGF-βにより抑制される正常脾細胞のTh1 typeのサイトカイン産生能やマクロファージのNO産生と癌細胞傷害性が、BLM添加培養から回収した上清では抑制されなかった。 同様に、ヒトの肺癌や頭頚部癌の培養細胞をBLMにより処理すると、培養上清中のTGF-β活性が有意に減弱することが確認された。BLMのTGF-β抑制作用の機序をTGF-β遺伝子のプロモーター領域に焦点をあて検索したが、明らかにできなかった。 北海道大学医学部第一外科および関連病院で摘出された肝癌、大腸癌、乳癌のTGF-β産生をRT-PCRのよる遺伝子発現により検討し、約50%の組織でTGF-β遺伝子発現が観られた。 これらの成績は、患者のQuality of life(QOL)を低下させない低用量の化学療法が、ある種の癌に対しては従来の高用量抗癌剤を用いた強力化学療法に代って有用であることを示唆している。臨床的癌化学療法によりこれらTGF-β遺伝子発現が抑制されるか否かは今後の研究で明らかにしなければならない。 TGF-βは抗腫瘍免疫応答性を抑制する以外にも、腫瘍血管新生、細胞外マトリックスの造成を促すことなどを介して、癌の病態を増悪させる因子のひとつである。従って、TGF-βの抑制は癌治療にとって極めて重要である。 また申請者らは、TGF-βの作用を消去することが期待される可溶化TGF-βレセプタータイプ2遺伝子の癌細胞への導入にも成功している。これらの研究により、癌細胞が産生するTGF-βによる病態の悪化を克服する治療法の開発が期待される。
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