肺癌におけるHGFクリングル断片NK4の増殖抑制活性:アデノウイルスベクター発現
Project/Area Number |
12217012
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas (C)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Review Section |
Biological Sciences
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
貫和 敏博 東北大学, 加齢医学研究所, 教授 (40129036)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鳴海 晃 東北大学, 医学部・附属病院, 助手 (30302219)
田澤 立之 東北大学, 加齢医学研究所, 助手 (70301041)
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Project Period (FY) |
2000
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2000)
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Budget Amount *help |
¥4,900,000 (Direct Cost: ¥4,900,000)
Fiscal Year 2000: ¥4,900,000 (Direct Cost: ¥4,900,000)
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Keywords | 肝細胞増殖因子(HGF) / 遺伝子治療 / アデノウイルスベクター / NK4 / 腫瘍血管新生抑制 / 肺癌 |
Research Abstract |
HGFは69kDaのα鎖と34kDaのβ鎖からなり、細胞の増殖、分散、管腔形成と多彩の生物活性を有するが、癌との関連においては、増殖、進展、転移を促進し、強力な血管新生因子でもある。また、HGFのレセプターであるc-Metは、癌において高頻度に強発現されており腫瘍の増殖促進に関与している。HGFα鎖に相当する分子内断片であるNK4は、このc-Metに対しHGFのアンタゴニストとして作用し、癌の進展を抑制すると報告されている。しかし臨床応用を想定した場合、ヒトに投与するだけのNK4タンパクは入手困難なこともあり、本研究ではNK4発現アデノウイルスベクター(AdCMV.NK4)を作製し、その腫瘍局所のみならず全身投与を行い、その抗腫瘍効果および抗血管新生効果をin vivoにおいて検討した。In vitroでヒト肺癌細胞(H358)にAdCMV.NK4を感染させNK4蛋白の発現を確認したが、細胞増殖に影響を与えなかった。次にヌードマウスにH358腫瘍細胞(1×10^7)を皮下移植し,AdCMV.NK4(1×10^9pfu)を腫瘍内に注入し腫瘍径を対照群と比較した。移植後28日目には対照群と比べ著しい腫瘍増殖抑制効果が得られ(86.2%抑制,n=4,p<0.01)、摘出した腫瘍の免疫組織染色(CD31)では、NK4投与群において有意に血管数が減少し(60.0%抑制,n=4,p<0.0001)、Tunel法でapoptosisに陥った細胞の増加が認められた。さらに非担癌マウスの皮下にmatrigelを注入した後AdCMV.NK4(1×10^9pfu)を投与しNK4の血管新生に及ぼす影響を検討した。注入6日後にmatrigelを摘出し侵入した血管数を測定すると対照群と比較しAdCMV.NK4投与により著しく血管密度が減少した(66.4%抑制,n=3,p<0.05)。またAdCMV.NK4ベクターの腹腔内投与後の臓器内NK4濃度を測定すると、肝、腎、肺すべてにNK4蛋白を検出した(肝臓34.1±5.7,腎臓10.2±2.5、肺1.6±0.9ng/g tissue)。次にBalb/cヌードマウスにH358細胞による皮下腫瘍を樹立し、AdCMV.NK4を2週以内に2回腹腔内投与(1×10^9pfu)したところ、局所投与同様の腫瘍抑制効果が認められた(38日目65%抑制、n=4、p<0.001)。一方体重減少、肝逸脱酵素(AST,ALT)の上昇など明らかな副作用は認められなかった。AdCMV.NK4は、in vitroでは腫瘍細胞への直接的作用がないにもかかわらず、in vivoで腫瘍増殖を阻害した。その腫瘍増殖抑制効果には血管新生抑制作用が関与している。アデノウイルスベクターを用いたHGF/NK4の遺伝子治療は肺癌に対し有望な治療法となり得ると考えられた。
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Report
(1 results)
Research Products
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