転写調節因子NFκBの不活性化による放射線抵抗性がんの感受性化機構
Project/Area Number |
12217071
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas (C)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Review Section |
Biological Sciences
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
宮越 順二 京都大学, 医学研究科, 助教授 (70121572)
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Project Period (FY) |
2000
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2000)
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Budget Amount *help |
¥4,700,000 (Direct Cost: ¥4,700,000)
Fiscal Year 2000: ¥4,700,000 (Direct Cost: ¥4,700,000)
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Keywords | 放射線感受性 / 遺伝子導入 / NF-κB / IKB-α / 脳腫瘍細胞 / リン酸化 |
Research Abstract |
本課題は種々の遺伝子発現に深く係わっていると考えられるNF-κBの機能を調節しているI-κBα遺伝子の導入により、分子レベルにおける細胞の内因性放射線感受性を支配している機構を解析しようとすることである。 放射線抵抗性脳腫瘍細胞にNF-κBの阻害蛋白であるI-κBα遺伝子を変異型(非リン酸化型)として導入し、以下の知見を得た。 1.IκB-α遺伝子のリン酸化部位(32および36番のセリン、42番のチロシン)のアミノ酸を塩基置換により変更し、このcDNAを発現ベクターpcDNA3に組み込んで、ヒト脳腫瘍由来細胞(MO54)に導入し、得られたクローンの放射線感受性化の程度を調べた結果、両セリンの置換(Sと略す)ならびにチロシンの置換(Yと略す)で放射線感受性化がさらに増し、これらすべてのリン酸化阻害によって、最も著しい放射線感受性化が認められた。 2.Tumor necrosis factor-α(TNF-α)20ng/mlの12時間処理により、S-IκB-α、Y-IκB-αクローンにおいては顕著なアポトーシスが観察された。親株やベクター単独のネガティブコントロールではこのアポトーシスは観察されなかった。 3.放射線照射後の細胞周期分布については、親株やネガティブコントロールでG1期やG2期アレストが観察されたが、SY-IκB-αクローンではこれら休止期のアレストはわずかであった。 4.リン酸化阻害剤herbimycin A(1μg/ml)を2時間処理すると、親株の放射線感受性は高まったが、SY-IκB-αクローンの放射線感受性に変化は認められなかった。 5.放射線に加え、紫外線(UV)や制がん剤のアドリアマイシン(ADR)の感受性をそれぞれのクローンで調べた結果、S-IκB-αおよびY-IκB-αクローンで致死効果は増強した。両リン酸化阻害のSY-IκB-αクローンでは、放射線と同様、さらに著しいUVとADR感受性化が観察された。 6.放射線誘発の突然変異について解析したところ、ネガティブコントロールに比較して放射線感受性化されたSY-IκB-αクローンでは著しくHPRT遺伝子の突然変異頻度が上昇した。
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Report
(1 results)
Research Products
(6 results)