NK4(HGFアンタゴニスト・抗血管新生因子)による悪性腫瘍の治療研究
Project/Area Number |
12217085
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas (C)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Review Section |
Biological Sciences
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
松本 邦夫 大阪大学, 医学系研究科, 助教授 (90201780)
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Project Period (FY) |
2000
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2000)
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Budget Amount *help |
¥3,400,000 (Direct Cost: ¥3,400,000)
Fiscal Year 2000: ¥3,400,000 (Direct Cost: ¥3,400,000)
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Keywords | HGF / NK4 / 転移 / 血管新生 / 腫瘍血管新生 / 制癌剤 / 膵臓癌 / HGFアンタゴニスト |
Research Abstract |
"殺癌細胞"を目的とした従来の癌治療では、癌の退縮が一時的に認められたとしても、耐性癌の出現により抗癌剤の作用は無効となる。また、外科的治療による延命を阻むものが転移癌の出現であり、浸潤・転移を高効率に阻止することが癌の治癒率向上につながる。私達はHGFが多くの癌細胞の浸潤・転移を促す宿主因子であることに基づき、HGFの分子内断片から浸潤・転移・腫瘍血管新生阻止能をもつNK4を調製した。本研究はNK4による新しい悪性癌治療法の確立を目的とした。ヒト膵癌細胞をヌードマウス膵臓に移植すると、移植後2週間を過ぎると癌の成長が著明になり、その後ヒトにおける膵癌の進行と同様に28日後には腹膜播種、腹水の貯留、肝転移が認められた。これに対して、移植後3日目から、NK4を連日投与したところ、14日目には癌細胞の正常組織への浸潤が抑制され、28日目には移植膵癌の成長がNK4投与によって抑制された。このとき、NK4によって腫瘍血管新生が阻害され、これにより癌細胞の細胞死が促進されていた。一方、腹膜播種、腹水の貯留、肝臓などへの遠隔転移は膵癌の末期に特徴的な悪性の症状として知られているが、NK4は腹膜播種、腹水の貯留、肝転移を強力に抑制した。さらに、膵癌の早期発見が困難であることを考慮して、癌の成長、播種性転移をきたす移植24日目からNK4を投与開始したところ、著明な延命効果を示した。NK4を投与したマウスでは播種性転移や腹水の貯留が著しく抑制されており、これによりNK4は強い延命作用を発揮したと考えられる。膵癌の成長阻害は主にNK4の血管新生阻害作用によってもたらされたと考えられる一方、癌の浸潤や播種性・遠隔転移阻害にはNK4のHGFアンタゴニスト活性が関与していると考えられる。したがって、膵癌特有の悪性形質に対するNK4の阻止効果は、NK4のもつ二機能性(HGFアンタゴニスト/血管新生阻止)によりはじめて達成されたものと考えられる。最も予後不良の膵癌に対し、NK4が浸潤・転移・腫瘍血管新生といった癌の悪性化阻止に基づく著明な制癌効果を発揮したことは、NK4は膵癌を含め、転移能の高い悪性癌に対する新しい制癌剤となる可能性を示している。
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Report
(1 results)
Research Products
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