Research Project
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
可溶型のMMP2は潜在型として組織中に存在するが、活性化に際しては細胞の表面に濃縮される。この際にTIMP-2が、N末のインヒビタードメインにてMT1-MMPと結合し、C末のドメインにて潜在型MMP-2の結合することによって、MT1-MMP発現細胞に潜在型MMP2が結合する為のアダプターの役割を果たす。複合体中のMT1-MMPは抑制状態にあるためにMMP2の活性化はできない。そこで近接した位置にありアクチベーター役として働くもう1分子のMT1-MMPが必要である。このような2分子のMT1-MMPが近接する仕組みを検証した。リコンビナント酵素のゲルろ過による精製過程で、MT1-MMPが見かけの分子量の整数倍の位置に溶出することを見出した。このような複合体形成はPEXドメインに依存した。実際の細胞上でもこのような複合体が形成されていことは、FLAGおよびMyc-tagで標識した分子を同時に発現して、抗FLAG抗体によってMyc-tag標識した分子が共沈すること、また、逆の実験が成立することで示された。PEXドメインを欠いた変異体MT1-MMPには複合体系性能はなく、同時にMMP-2の活性化能も失っていた。次に、細胞外領域はMT1-MMPに由来し、細胞膜貫通および細胞内ドメインは神経成長因子受容体(NGF-R)に由来するキメラ蛋白質を細胞に発現させて、MT1-MMPのホモ複合体形成を可視化することを試みた。MT1-MMPは細胞運動に際して運動の先進部に局在することが知られている。細胞に活性型Racを発現させて、MT1-MMPがラメリポデイアに局在するような状況を作ってやると、NGF-Rのリン酸化が細胞外のPEXドメインに依存して同様の場所で引き起こされることを確認した。同時にMMP-2の活性化も誘導されることが確認された。
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